27 「日本海・防空艦隊」構想 古沢襄

米国防総省がQDR(四年ごとの国防計画見直し報告)によって、米海軍の主力を太平洋に配置換えすることは、日本の防衛計画にも大きな影響を与える。それは陸上自衛隊のサマワ派遣どころの話ではない。
まさに”太平洋の波高し”となる。今まではグアムの米海軍基地に四隻の原子力潜水艦が入港しているとか、横須賀に原子力潜水艦が一隻入港するだけで、ニュースになっていたのが、太平洋に四〇隻のロサンゼルス級原子力潜水艦がウヨウヨしている事態を考えてみよう。
通常は原子力潜水艦の潜行勤務は二ヶ月程度。それ以上になると健康管理、精神管理上で問題がでるので基地に帰投して休養する。原子力潜水艦だけでない。原子力空母はじめ他の艦艇の乗組員にも休養が必要だから、ホノルルは海軍さんで、いっぱいになるだろう。
米海軍の原子力空母は一〇隻、このうち四隻が第七艦隊に所属していたが、QDRにいう「太平洋に過半数空母」とは六隻体制をとるということではないか。横須賀を基地としている空母キティホークは、米海軍で唯一の通常型空母だったが、老朽化が進んでいるため引退・廃艦されて、ニミッツ級原子力空母が後継艦となる。
さきの日米戦争を米側は「太平洋戦争」と称しているが、開戦前に米海軍の総力を太平洋に集結している。QDRの太平洋重視は、太平洋戦争当時に次ぐものではないか。イラクなど中東情勢は、曲がりなりにも方向性がみえてきた。やはりアメリカにとって潜在的な脅威となるのは中国の台頭であろう。
同盟国である日本に対しては、相応の海軍力の増強を求めてくる気がする。すでに要求されているのかもしれない。一つは、同時多数の航空攻撃に対して、艦隊防空を果たす「日本海・防空艦隊」構想の実現化。もう一つはイージス護衛艦四隻体制を六隻に増強することであろう。
第四世代の対空誘導弾を搭載するイージス護衛艦は、アメリカ海軍ではDDG(Guided
Missile Destroyer)の略号で呼ばれる様に、空母機動部隊を護衛するミサイル駆逐艦。空母を持たない海上自衛隊にとって、過ぎたる高性能艦なのだが、「こんごう」「きりしま」「みょうこう」「ちょうかい」の四隻が就航し、二〇〇二年度から年次計画で、それぞれの改修まで実施してきた。
さらに在来の対空ミサイル護衛艦とセットにした四個護衛隊群(艦隊)を編成している。イージス護衛艦「ちょうかい」は、在来型の対空ミサイル護衛艦「ひえい」「さみだれ」、対潜哨戒機P3C五機とともに、派米訓練を行っている。
このようなイージス護衛艦の強化策は、北朝鮮や中国の中距離弾道弾の脅威に対応するものだとされてきたが、イージスシステムそのものの研究が、まだ成果をあげるまでに至っていない。
最大の防御策は、敵のミサイル発射基地を先制攻撃して、レーダー・システムともども破壊することに尽きるが、その手段を持てない日本としては、アメリカ頼みの防衛策になる。海上自衛隊も米海軍の補助艦隊の性格を強めるのではなかろうか。
米国防総省がQDR(四年ごとの国防計画見直し報告)によって、米海軍の主力を太平洋に配置換えすることは、日本の防衛計画にも大きな影響を与える。それは陸上自衛隊のサマワ派遣どころの話ではない。
まさに”太平洋の波高し”となる。今まではグアムの米海軍基地に四隻の原子力潜水艦が入港しているとか、横須賀に原子力潜水艦が一隻入港するだけで、ニュースになっていたのが、太平洋に四〇隻のロサンゼルス級原子力潜水艦がウヨウヨしている事態を考えてみよう。
通常は原子力潜水艦の潜行勤務は二ヶ月程度。それ以上になると健康管理、精神管理上で問題がでるので基地に帰投して休養する。原子力潜水艦だけでない。原子力空母はじめ他の艦艇の乗組員にも休養が必要だから、ホノルルは海軍さんで、いっぱいになるだろう。
米海軍の原子力空母は一〇隻、このうち四隻が第七艦隊に所属していたが、QDRにいう「太平洋に過半数空母」とは六隻体制をとるということではないか。横須賀を基地としている空母キティホークは、米海軍で唯一の通常型空母だったが、老朽化が進んでいるため引退・廃艦されて、ニミッツ級原子力空母が後継艦となる。
さきの日米戦争を米側は「太平洋戦争」と称しているが、開戦前に米海軍の総力を太平洋に集結している。QDRの太平洋重視は、太平洋戦争当時に次ぐものではないか。イラクなど中東情勢は、曲がりなりにも方向性がみえてきた。やはりアメリカにとって潜在的な脅威となるのは中国の台頭であろう。
同盟国である日本に対しては、相応の海軍力の増強を求めてくる気がする。すでに要求されているのかもしれない。一つは、同時多数の航空攻撃に対して、艦隊防空を果たす「日本海・防空艦隊」構想の実現化。もう一つはイージス護衛艦四隻体制を六隻に増強することであろう。
第四世代の対空誘導弾を搭載するイージス護衛艦は、アメリカ海軍ではDDG(Guided
Missile Destroyer)の略号で呼ばれる様に、空母機動部隊を護衛するミサイル駆逐艦。空母を持たない海上自衛隊にとって、過ぎたる高性能艦なのだが、「こんごう」「きりしま」「みょうこう」「ちょうかい」の四隻が就航し、二〇〇二年度から年次計画で、それぞれの改修まで実施してきた。
さらに在来の対空ミサイル護衛艦とセットにした四個護衛隊群(艦隊)を編成している。イージス護衛艦「ちょうかい」は、在来型の対空ミサイル護衛艦「ひえい」「さみだれ」、対潜哨戒機P3C五機とともに、派米訓練を行っている。
このようなイージス護衛艦の強化策は、北朝鮮や中国の中距離弾道弾の脅威に対応するものだとされてきたが、イージスシステムそのものの研究が、まだ成果をあげるまでに至っていない。
最大の防御策は、敵のミサイル発射基地を先制攻撃して、レーダー・システムともども破壊することに尽きるが、その手段を持てない日本としては、アメリカ頼みの防衛策になる。海上自衛隊も米海軍の補助艦隊の性格を強めるのではなかろうか。

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