安倍官房長官が四月に靖国神社に参拝したことや谷垣財務相がこのところ反小泉・反安倍の政策態度を明確にしだしたことが、九月の自民党総裁選にどのような影響を与えているのか注目していたが、衆参両院議員四〇三人の支持動向をみると安倍氏がさらに優位に立ったことが分かった。
共同通信社が七日までに四〇三人の支持動向を探った結果①安倍氏が派閥を超えて若手、中堅にも浸透している②この結果、現時点で過半数に迫る180人余りの支持を獲得③谷垣氏と麻生外相は立候補に必要な推薦人20人に相当する支持を獲得④しかし所属する谷垣派、旧河野派以外では伸び悩んでいる・・・ことが分かった。
まだ約180人が態度を明確にしていないが、安倍氏優位の構図は動きそうもない。意外なのは対立軸を明確にしだした谷垣氏が、思ったより支持を拡大していないことである。少なくとも小泉批判の色を強めていた福田康夫氏の支持層を、ある程度は吸収するとみられていただけに、期待外れの観がある。
態度を明確していていない議員は二つに分かれているのではないか。一つは津島派。自派から額賀防衛庁長官が出馬すれば、大部分は額賀支持に回るであろう。もう一つは丹羽・古賀派。本来なら谷垣支持に回るべきだが、派内がまとまっていない。
安倍官房長官が四月に靖国神社に参拝したことは、総裁選には影響しないとみている。むしろ小泉首相が八月十五日に靖国参拝をすると、それでは安倍氏がどうするかに注目が集まってしまう。そこで曖昧な態度をとれば、総裁選にマイナスだという判断があったのではないか。
総裁選では靖国参拝を論点に掲げた方が不利となる。靖国参拝の中止を求める中国や韓国の圧力に屈したと見られてしまうからである。その意味で「自分が総理になったら靖国参拝には行かない」と谷垣氏が早々と言ってしまったのは、計算違いをしてしまった様な気がしてならない。
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