107 額賀氏が総裁選に出馬? 古沢襄

額賀福志郎防衛庁長官は自民総裁選に出馬の意向を固めた様である。ジャカルタから帰国後、所属する津島派幹部とも話し合い、近日中に決意表明をするのではないか。派内には久間章生氏の様な出馬慎重論があるが、額賀氏が立候補に踏み切れば、これを黙認するしかない。
自民党の総裁選は九月二十日、衆参両院議員(四百三票)と各都道府県に割り振られる党員・党友(三百票)の合計七百三票をめぐって候補者たちが争う。優勢が伝えられる安倍官房長官が過半数の三百五十二票を獲得すれば、安倍氏の勝利で終わる。
ここまでくると世論調査で安倍氏の支持率が上がったとか、下がったというのは、それほど大きな意味を持たなくなる。具体的に国会議員票や都道府県票をどれだけ固めたのか、という数が最大に決め手になる。世論調査で人気度ナンバーワンであっても、総裁選で敗れたら意味がないからである。
その中でも国会議員の票が重要な意味を持つ。安倍氏がダントツで一位なっても、過半数に至らないケースがあり得る。その場合には国会議員だけで上位二人による決選投票になる。一位の安倍氏が決戦投票で二位に敗れる可能性もないわけでない。
現状では安倍氏が固めた国会議員票は百八十票以上といわれるが、過半数には達していない。ほぼ同数の国会議員が、まだ態度を決めていないからである。このような情勢下で党内第二派閥の津島派から額賀氏が出馬すれば、二位に浮上する可能性がある。津島派は十日に研修会を予定している。
もっとも額賀氏が出馬して二位となるケースがあっても、安倍氏が優位な構図は変わるまい。安倍擁立推進グループは、第一回の投票で過半数を取る動きを強めるであろう。
自民党で最大派閥だった橋本派の“プリンス”といわれた額賀氏だったが、ツキに見放された政治家と言われたこともある。橋本登美三郎氏(故人)の選挙地盤を引き継いで、順風満帆な船出をしているが、小渕内閣の防衛庁長官の時に、防衛庁調達実施本部における不祥事があって辞任に追い込まれた。森内閣で経済財政担当大臣となったがKSD疑惑で、同社から1500万円の献金を受けていたとして辞任。よくよく巡り合わせが悪い。
しかし小泉内閣で防衛庁長官に返り咲き、米軍の再編成・基地移転問題ではそつなくこなしている。イラク・サマワに派遣した自衛隊も一人の犠牲者も出すことなく撤退が終わった。たびたびの辞任劇で、遠回りしてきた額賀氏だけに心中深く期すものがあるのだろう。
少なくとも谷垣氏には負けられないという思いがあるという。これまでの悪い巡り合わせが、吹っ切れることになるか、どうか額賀氏の決断の日が近づいている。

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