167 盧武鉉反日外交に変化の兆し? 古沢襄

韓国の盧武鉉大統領がとってきた反日外交路線に転換の兆しがみえる。中国の江沢民・反日路線を見習ったわけではあるまいが、このところ低迷している国民人気を回復するために小泉靖国参拝をヤリ玉にあげて、日韓首脳会談を拒絶する反日外交を展開してきた。
その一方で北朝鮮に対して融和政策を展開して、韓国の際だった外交路線が日米両国から懸念を持たれている。盧武鉉大統領は朝鮮半島の安定的な平和を構築するために、むしろ中国、ロシア寄りの北朝鮮政策を選択した。
金大中前大統領の平壌訪問、盧武鉉大統領の平壌訪問によって緊張関係にある北朝鮮との関係打開という戦略地図を描いている。積極的に北朝鮮に資金援助や食料援助をすることによって、北朝鮮が豊かになれば共産党独裁の政権が変化せざるを得ないという計算があるという。うまく転がればノーベル平和賞ものだが、相手はしたたかな金正日国防委員長のことだ。韓国の思惑をよそに、いただくものは頂戴して、日本海でミサイル発射演習を強行し、金大中、盧武鉉訪朝の夢は消え去った。
残ったのは盧武鉉大統領に対する韓国国内の失望感。盧武鉉大統領に失望した米国は、在韓米軍を縮小して、新たな朝鮮半島政策を練り直す構えをみせて牽制するに至った。小泉首相も八月十五日の靖国参拝を公約通り行っている。いわば八方塞がりの状況に陥った盧武鉉政権である。
ここにきて韓国の潘基文外交通商相が、八月上旬に安倍官房長官と密かに会って、昨年十一月以来、拒否してきた日韓首脳会談の再開に応じるとの盧武鉉大統領の意向を伝えていたことが分かった。
潘基文外交通商相は次期首相と目されている安倍氏に対して、首相就任後、早期に訪韓するよう招請したといわれる。もっとも潘基文外交通商相は韓国マスコミには「韓国には安倍氏に対する期待が大きい。安倍氏が歴史認識を正しくすれば、首脳会談を含めてすべての問題に韓国が応じる姿勢ができている」とも言っている。
七日、アジア欧州会議(ASEM)首脳会議などに出席するため、ヘルシンキに向け出発した小泉首相は「無条件なら会うが、(靖国神社に参拝しないという)条件を付けられて会う気はない」と述べ、「靖国参拝しませんから会ってくださいということは言ってはいけないと外務省に指示している」と言明した。盧武鉉大統領が安倍次期首相に投げた曲球に応じた小泉首相の直球といえるであろう。

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