安倍新政権のもう一つの特徴は、自民・公明連立によって疎遠となっていた神道系諸団体との関係修復があるのではないか。これが公明党・創価学会との決別、連立解消を意味するものではないが、与党慣れした公明党にとっては気になる動きであろう。
もともと神道系諸団体は自民党の強力な支持団体であった。たとえば「生長の家」は参院選で玉置和郎、村上正邦ら生長の家幹部を自民党公認候補として国会に送りだしてきた。六〇年安保の頃から政治色を強め、靖国神社国家護持などを主張している。
ウイキペデイアによると、生長の家(せいちょうのいえ)は谷口雅春氏が1930年に創始した神道系の新宗教団体。公称信者数は212万人。うち国内には約85万人程度とされる。本部は東京都渋谷区神宮前1-23-30。2006年現在、総裁は谷口清超、副総裁は谷口雅宣。総本山の龍宮住吉本宮が 長崎県西海市、別格本山である生長の家宇治別格本山が京都府宇治市に各々ある。
代表的な聖典として『生命の實相』(頭注版全40巻、愛蔵版全20巻)が、聖経として『甘露の法雨』が、神示として「七つの燈臺の點燈者の神示」(総称)がある。
創始者(生長の家では開祖、教祖の名称は使われない)の谷口雅春氏は、早稲田大学中退後、紡績会社勤務を経て1918年に大本(大本教)に入信。この頃に当時大本に在籍していた江守輝子と出会い結婚している。やがて大本を離れて1930年に雑誌『生長の家』創刊した。生長の家ではこの日を以て「立教記念日」としている。
1949年に生長の家教団として宗教法人格を得て、組織の再構築を行い拡大化。その後は、妊娠中絶に反対するなど宗教の分野以外でも積極的に活動する様になり、また神道系である事から特に靖国神社国家護持などを主張した。
安保改定の頃より、次第に政治にも積極的に関与するようになり、生長の家政治連合を結成して参院選では、玉置和郎、村上正邦ら生長の家幹部を自由民主党公認候補として国会に送り出した。
また1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件を契機に、宗教法人の収入報告などに賛成し、新しい歴史教科書をつくる会の構成員には生長の家の信奉者が多い。自民党内では旧福田派との縁が深い。福田直系の安倍氏が総理・総裁になれば、神道系諸団体との関係修復が進む可能性があるのだが、それは一方で公明党・創価学会との関係が微妙になる要素を含んでいる。したがって急激なカーブを切ることはないとみている。
172 神道系諸団体との関係修復 古沢襄

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