177 浮上した麻生幹事長説? 古沢襄

自民党の総裁選挙は目前に迫ったが、ここにきて党の要(かなめ)となる幹事長に、麻生太郎外相説がでている。政治評論家の三宅久之氏や屋山太郎氏が、この説。私は麻生副総理説をとってきたが、いずれも安倍晋三氏の心の中を覗いたわけではないから、蓋を開けるまで分からない。読売新聞は早々と中川秀直政調会長の幹事長説を書いた。
総裁選挙は衆参両院議員四〇三票と党員代表三〇〇票の七〇三票をめぐって争われるが、大方のみるところ安倍氏が五五〇票前後、麻生氏が一〇〇票の大台に乗るか、どうか。谷垣氏は五〇票程度といわれている。これも蓋を開けるまで分からないが、安倍独走は変わらない。
麻生氏が予想以上の健闘ぶりをみせているのは、地方の自民党員の支持票が、かなり出ていることが原因。茨城県連は麻生支持が安倍支持を上回っているほか、岩手県連でも麻生票が安倍票に迫っている。来年の統一地方選挙や参院選を前にして、都市と地方の格差是正を政権公約として打ち出した麻生氏の支持票がジワジワと増えている。
一方、消費税のアップを政権公約に掲げた谷垣氏は、正直過ぎたのか、支持票が足踏み状態にある。やはり選挙を前にして税金の値上げは、理由を問わず忌避される。媚中派と批判される加藤紘一氏が推薦人の名を連ねたことも裏目にでたのではないか。小泉政治を批判するのであれば、閣僚を辞任してインパクトを強めるべきではなかったか。大宏池会の復活で要となる丹羽・古賀派との提携も不発に終わっている。
この時点で麻生幹事長説が流布されると新聞辞令に終わる可能性もある。サプライズ人事にならないからである。中川氏については、党の政策の要として政調会長留任説を私は唱えてきた。第三の幹事長候補として党内第二派閥の津島派から久間章生総務会長の可能性が消えていない。地味な人柄であるが、参院選対策から考えると可能性がある。他に二階俊博氏を予想する向きもある。
来年の参院選は、亥年選挙になるから投票率が低くなる可能性がある。人気よりも地方組織をしっかり固めた手堅い選挙をした方が勝つ。小沢民主党は、まさにその戦術に徹している。郵政政局で自民党を離党した無所属議員の復党が、そのカギを握っている。その中でも平沼赳夫氏の復党が焦眉の急となったが、まだ具体的な動きが見られない。
むしろ安倍新政権で論功行賞を意識した閣僚ポストの争奪に話題が集まった傾向すら見える。危ういかな自民党というのが、偽らないところである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました