日本山岳会の会員で北アルプスに魅せらた菊池今朝和さんが、永年勤務していた新日鉄を卒業して、剣岳・池の平小屋の管理人になったというメールをいただいた。第二の人生として、これほど素晴らしいことはない。わが家で一晩痛飲したことが、つい昨日のことのように思える。
菊池さんは杜父魚ブログに「つるぎ号とモリブデン」の記事を寄稿していただいたのでご記憶の方もあろうかと思う。山男なら阿曽原温泉から剣岳への北方稜線に「阿曽原温泉小屋」、「仙人温泉小屋」、「仙人池ヒュッテ」、「池の平小屋」と四つの小屋があるのをご存じだろうが、仙人池ヒュッテから阿曽原間の登山道は、けっしてやさしい登山道ではないという。
それだけに下界の喧噪が嘘のような別世界。菊池さんは心優しい物識りなので、池の平小屋を訪れたら、菊池さんと一夜歓談するのも楽しい筈。私は大学を卒業する年に谷川岳に登ったことがある。その時は難なく登山できたのだが、ジャーナリストになって大学の後輩たちを連れて、再び谷川岳に登ったら、途中で息切れしてダウン。深酒とタバコの吸いすぎで、すっかり身体が生っていた。「先輩、大丈夫ですか」と声をかける女子学生に追い抜かれる醜態を演じてしまった。それ以来、山に登ったことがない。それだけに菊池さんが羨ましい。菊池さんのメールをご紹介する。
古沢様 杜父魚ブログにも書かれていましたが、軽微な脳血栓の徴候がおありとか、とても、心配です。歩くことや、書くことにも、ご不自由を感じられておられるのでしょうか。精密検査をお勧めいたします。
つるぎ号の記事、古澤さんのアレンジがよく、地元に当たります、東京北区と宇奈月町関係のホームページにも転載され、閲覧できるようになっていました。驚きです。書いた人間の手許を離れアメーバーのように増殖してゆくような不気味さも少し感じますが、皆さんに事実を知っていただくことは、嬉しいものです。
実は8月29日から9月三日の日程で、また裏剣の別天地、池の平に再登してきました。
いま、新日鉄で嘱託2年目ですが、来年夏からはこの別天地でもあり、その調査地でもある池の平にあります、池の平小屋の管理人をすることになりました。山小屋勤めは、昭和40年から、3年ほど白馬岳の小屋で働いた経験がありますから38年振りにカンバックとなります。
早速、10月の連休登山者の食事の用意のため、10月3日から13日まで入山です。料理のほうは、東京、上野の聚楽を皮切りに、蒲田、そして釜石と7年ほど経験が有りますので、なんとかいい食事を提供したいものと思っています。若いときの経験が、定年後にこんなに生きるとは思ってみてもまなかったのですが、手習いの大工仕事好き、掃除好きもありますが、何よりも知らない人と、すぐ打ち解けるという、能天気な性格が、山小屋の親父にはもっとも向いているのではないかと、案じる女房を説得したところです。
先日、ヘリの荷揚げがあり、早速鉱物探査用のハンマーなどと、池の平山の植物や昆虫の生態も調査したいということで、湿地ようの長靴、沢山の図鑑などを荷揚げしたところで、来年はノートパソコンも上げ、記録の整理と、岸一太と「つるぎ号」についてまとめたいと、楽しみにしているところです。古澤さん、どうぞご自愛を。
185 山男が池の平小屋の管理人 菊池今朝和

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