韓国情報というのは玉石混淆。東京駐在の外国特派員が週刊誌の記事を転電したら大恥をかく。新潮社の専務だった佐藤君は小学校で同じクラスで六年間机を並べていた仲である。都立戸山高校から慶応大学に進んだ。
新潮社ともあろうものが、怪しげな記事を書くのは可笑しいではないかと私が言った返事がふるっていた。「新聞は真実の報道をする使命があるが、週刊誌は噂の段階でも記事にする。その代わり記事にはちゃんと逃げを打っているよ」。「成る程、そういうものか」と思って論争することやめた。記事を書くスタンスが違うのだから、論争しても意味がない。
韓国のメデイアに出る記事には日本の週刊誌に似た傾向がある。ソウル駐在の日本特派員が、韓国の新聞記事をそのまま転電してくることはまずない。コンファーム(確認をとる)して送ってくる。
北朝鮮とは地続き、同じ民族だから韓国の北朝鮮情報は、それなりに注目しておく必要はある。とくにKCIAの全盛時代には、韓国に亡命した北朝鮮軍人を訊問して、貴重な北朝鮮情報を得ている。代表的な例は、一九九三年八月十一日に韓国に亡命した林永宣(イムヨンソン)中尉のノドン・ミサイル実戦配備情報であった。
人民武力部軍事建設局(通称第五八三部隊)の第一三連隊警備小隊長だった林中尉は、連隊長の直接指揮下にあって、連隊全体の監視・保全任務についていた。それだけに中隊長や大隊長も知らされていない軍情報を知りうる立場にいた。
ノドン・ミサイルとは米国がつけた名称で、北朝鮮では「火星(ファソン)ミサイル」という。「火星一号が、すでに完成して日本を攻撃する飛距離を持っている。発射基地は二カ所が完成し、あと二カ所が建設中」と林中尉は自供している。
米国は偵察衛星を使って北朝鮮の軍事的な動きを常時監視しているが、韓国のような人的情報が乏しい。その意味でKCIA情報の価値は高く評価されてきた。しかしKCIAが安全企画部に改編されてからは、韓国の北朝鮮情報には以前のようなトップ・シークレット情報がでなくなっている。南北融和政策を進めている韓国政府としては、北朝鮮が秘匿する情報をあからさまに追求することを避けているのかもしれない。
その前提で以下の金正日国防委員長死亡説を読む必要がある。情報ソースは韓国系のメディアらしいが、それをキャッチした人が、ドイツのクライン孝子さんに伝えてきた。私には、この情報を否定する材料もないし、肯定するだけの根拠も持っていない。しかし、このような情報がでること自体が、北朝鮮で何かが起ころうとしているという私の観測を裏付けている。
<金正日死亡説まで、流布され始めた。最近、姪死亡とのニュースが流れたが、これに絡んで尾ひれがついたのかもしれないが、真偽のほどはさておき以下のメールがある筋を通して届いています。
<<勤務の特性上中国共産党の高官と接触することが多いので飲み食いの席では色々の情報を得られるのですが、そんな中でつい二十日ほど前に興味深い情報を得ました。
その情報とは、北朝鮮の金正日の消息に関するものですが、その高官によれば、金正日は先月の中頃にロシアの病院で手術中死亡したようです。
今月の初めに、北朝鮮高官が密かに訪中したニュースは韓国系のメディアから流れ、中国政府もこれを公式に認めておりますが、その訪中の意味は、人民軍の圧力があり金正日後継を独力では決められない労働党が、中国共産党に人民軍に対影響力行使を打診するためのものであったようで、原則的に中国政府、人民解放軍首脳はそれを了承したとのことです。
最近急激な変化の見られる対日姿勢は、中国共産党が、彼らは軟式併合と呼んでいるようですが、朝鮮半島北部を実質的領域に組み入れた際に、拉致被害者返還を餌として日本から資金を引き出すための環境作りです。
今申し上げましたように、北朝鮮に既に金正日はなく、北朝鮮は後継体制を決められないでいるわけですから、自動的に崩壊するのは時間の問題であり、中国を経由して資金供給などしなくても拉致問題が解決する環境は整いつつあるのです。
いずれこの話は水面下に出るのですが、その時とは中国の準備が整ったときであり、準備が整うとは日本からの資金提供のめどが立ったときです。つまり、下手をすれば日本は遣らずもがなの金を中国に搾取されることになるのであり、このことをクラインさんを通じて警鐘を鳴らしていただきたいと思いメールをお送りしました>>
199 金正日国防委員長の死亡説? 古沢襄

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