204 森・小沢・綿貫の意外な関係 古沢襄

新聞やテレビには出てこないのだが、森前首相、小沢民主党代表、綿貫国民新党代表と羽田元首相、渡部民主党国対委員長の五者が、月に一回ぐらいの割合で定期的に会合している。いずれも衆院当選十三回の古参議員、かつては自民党で同じ釜の飯を食った仲である。永田偽メール事件で民主党が大揺れになった頃、平成の黄門様・渡部氏が仕掛人になって作った会合だが、小沢氏ら四人が旧田中派、森氏だけが旧福田派という顔ぶれが面白い。
最近の会合で安倍晋三氏の総裁選出馬と福田康夫氏の出馬見送りが話題になった。森氏は「安倍氏は小泉首相に似て情に薄いところがある」とボヤいてみせたという。キツネとタヌキの化かし合いのような海千山千の人たちばかりだから、言っていることのどこまでが本心か眉にツバでもつけて聞かねばならぬが、案外、本音かもしれない。
渡部氏は「森さんが安倍、福田の間の調整を何故しなかったのか」と問い質したところ「安倍氏が降りないかぎり福田氏はでない」と森氏は答えている。民主党も若手議員の動向が気になるところである。「若い議員に情を重んじるよう教えねばならぬ」ということでお開きになった。自民党も民主党も新旧交代の時期を迎えている。それを思わせるやりとりで面白い。
自民党の幹事長人事は話題にならなかったようだが、森氏が期待している中川政調会長の幹事長起用には、まだ確たる自信が持てないでいるのではないか。情を重んじれば、いち早く安倍総裁の道筋をつけたのは中川氏をおいて他にない。中川幹事長をさておいて麻生幹事長になれば、森派の中で口には出さずとも不満をもつ人たちがでる筈である。何といっても安倍総裁実現の原動力になったのは森派という自負がある。
安倍氏は小泉首相と違って、総理の座を退いたら森派に復帰する意向を洩らしているという。若い総理・総裁だから再登板も視野に入れているのではないか。森派も安倍氏に次ぐ総裁候補がまだ育っていない。それだけに中川氏の幹事長起用に期待するところが大きい。
森氏は清和会の代表を福田康夫氏に譲る腹でいる。森派は福田派に衣替えすることになるが、安倍政権の支えに徹するであろう。そして安倍氏が総理の座を降りたら、福田氏は安倍氏に清和会の代表を譲るのが既定路線。その時には清和会のメンバーはかなり若返る。小泉首相は総理の座を降りたら、在任中に培った諸外国首脳との親しい関係をもって、小泉外交に専念しながら、安倍政権を支えるつもりだという。
清和会に復帰すれば、派閥の会長として面倒な仕事も背負わねばならぬ。一部に囁かれている安倍の後は小泉という気持ちはサラサラない。小泉首相の恩師である福田赳夫氏は総理の座を降りたら、各国の元大統領、元首相をメンバーにしたOBサミット名誉議長に就任して、世界を駈けめぐっている。弟子の小泉氏は、恩師の例にならう気持ちだという。

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