「参院選は民主党が敗北します」というメイルが2006年9月22日に届いた。それを友人に伝えたら、折り返しのメイル。
<自民が出す政策に、民主がより良い対案を出して競い、結果として、私たち国民が「民主党政権の方が幸せになれる」と実感した時、民主党は初めて政権が獲れる。
それなのに、自民党にすべて反対という小沢路線の誤りは、何でも反対だった社会党没落の歴史で実証されています。
来年の参院選で「小沢の豪腕」をマスコミが囃したてるほど、小沢民主党は強くないと見ています>。友人は素人ではない、専門家だ。
そもそも発端のメイルをまず見よう。<国民新党の綿貫代表が「(安倍総裁は)仔犬のように可愛いね」と皮肉っていた。言い得て妙である。安倍人気を支えているのは女性たちである。成犬の”いかつい犬たち”が、安倍口撃をすれば、するほど安倍義経に対する同情と人気が増幅される。大衆的人気とは、そういうものである。
このあたりの機微を小沢一郎氏がみておかないと安倍氏にしてやられる。国会論戦でかさにかかって、安倍首相をコキおろす単調な戦術に堕すると小沢悪者のイメージが増幅されることになりはしないか。
テータ上も民主党の好感度が低迷している。地方組織も弱体なままで、党員数も伸び悩んでいる。足が地面についていない。はっきり言って参院選で民主党が勝つ可能性が薄くなった。
この状況を自民党の知恵者が仕組んだとは思えない。思わぬ安倍効果が生まれていると思わねばならない。今のところタカ派のイメージよりも安倍ポチ・イメージが先行しているので、立花隆や森田実氏ら安倍批判派が、危険な国家主義者と安倍氏を口撃しても大衆的な支持を得ていない。空しい遠吠えといった感じを受ける。
参院選で民主党が勝てないと小沢代表は来秋の代表選を待たずに退陣せざるを得なくなる。私は前原誠司前代表が復活するとみている。
国民にとっては安倍VS前原の対決の方が見応えがある。それこそ日本政治は戦後生まれの安倍氏と前原氏の若き世代の対決という新しい時代の幕が開ける。
前原氏は永田偽メール事件で不本意な退陣を強いられた。雌伏している段階だが、小沢民主党では党再建ができないと分かれば、民主党に残された唯一の切り札になる。高坂正堯京大教授(故人)に親炙し、松下政経塾の出身である前原氏は、民主党のエースであることには変わりがない。
この数ヶ月、小沢氏に注目してきたが、古き田中政治、使い古された田中手法から1歩も出ない旧体制の政治家であることが露呈された。
新しいヴィジョンが無いどころか、旧社会党グループに色目を使って、安全保障政策では後退する様である。批判はするが、建設的な提言がない。>
実際、自民党は「ムードの小沢」を”解剖”した結果、「できもしない主張」などとする結論を出し、来るべき党首討論で論破することを決めた。「大胆なばらまき政策」
< 自民、小沢氏の基本政策検証
自民党は22日、政調正副会長会議を開き、民主党の小沢一郎代表が掲げる政策と過去の発言、著書との整合性などを分析した報告書をまとめた。
小沢氏が基本政策の中で掲げた食料自給体制の確立と農家への所得補償制度に関し、「大胆なばらまき政策だ。財源がいくら必要で、誰が負担するのかの説明がない」と批判している。
中川秀直政調会長は会議で「都合の良いことだけをまとめたつまみ食いした、その場しのぎの政策であることが明確になった」と強調。首相に就任する安倍晋三総裁に渡し、臨時国会での党首討論に備える。
報告書は、非管理職の終身雇用化に対し「できもしない主張で、労働組合におもねったものだ」と指摘した。>(Sankei Web 09/22 13:33)
ところで古澤襄さん(元共同通信社常務理事)のブログが面白い。
http://blog.kajika.net/
このブログの9月22日の記事の中に、以下のような記述があった。<新聞やテレビには出て来ないのだが、森前首相、小沢民主党代表、綿貫国民新党代表と羽田元首相、渡部民主党国対委員長の5者が、月に1回ぐらいの割合で定期的に会合している。
いずれも衆院当選13回の古参議員、かつては自民党で同じ釜の飯を食った仲である。永田偽メール事件で民主党が大揺れになった頃、平成の黄門様・渡部民主党国対委員長が仕掛人になって作った会合だが、小沢氏ら4人が旧田中派、森氏だけが旧福田派という顔ぶれが面白い。
最近の会合で安倍晋三氏の総裁選出馬と福田康夫氏の出馬見送りが話題になった。森氏は「安倍氏は小泉首相に似て情に薄いところがある」とボヤいてみせたという。
キツネとタヌキの化かし合いのような海千山千の人たちばかりだから、言っていることのどこまでが本心か眉にツバでもつけて聞かねばならぬが、案外、本音かもしれない。
渡部民主党国対委員長は「森さんが安倍、福田の間の調整を何故しなかったのか」と問い質したところ「安倍氏が降りない限り福田氏は出ない」と森氏は答えている。
民主党も若手議員の動向が気になるところである。「若い議員に情を重んじるよう教えねばならぬ」ということでお開きになった。自民党も民主党も新旧交代の時期を迎えている。それを思わせるやりとりで面白い。>
おいおい、如何に昔の仲間とはいえ、自民党前総裁と民主党代表が、余人を交えてとはいえ、月に1回の割合で懇談しているとは穏やかではない。
だから、<この数ヶ月、小沢氏に注目してきたが、古き田中政治、使い古された田中手法から1歩も出ない旧体制の政治家であることが露呈された。新しいヴィジョンがないどころか、旧社会党グループに色目を使って、安全保障政策では後退する様である。批判はするが、建設的な提言がない。>という先の指摘は、以上の懇談に現れた小沢の古い体質を物語るものだろう。若手は決して、許さないだろう。また世論もこれでは沸かないだろう。2006・09・22
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