安倍首相は八日と九日の連休を使って北京とソウルを訪問する意向で中韓両国政府と大詰めの調整を行っている。共同通信は日本側と中韓両国の調整は大筋で固まり、八日に北京で胡錦濤国家主席と温家宝首相、九日にソウルで盧武鉉大統領と首脳会談すると報じた。
<首相8日から中韓歴訪 胡主席、盧大統領と会談=2006年10月 2日 (月) 00:54
安倍晋三首相が8日から北京、ソウルを歴訪し、同日に中国の胡錦濤国家主席と温家宝首相、9日に韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領と会談することが1日、固まった。中国側は会談に応じる方針を既に日本側に伝えている。日中関係筋が明らかにした。日中首脳会談は昨年4月のジャカルタ以来。日中首脳の相互訪問は2001年10月以来途絶えており、約5年ぶりの再開となる。日韓首脳会談は昨年11月の釜山以来。
安倍首相は新政権発足を機にアジア外交立て直しをアピールしており、小泉純一郎前首相の靖国神社参拝が原因で冷却化している中韓両国を初外遊先に選び、早期の関係改善に乗り出す。(共同)>
一方、朝日新聞は八日にもソウルを訪問、盧武鉉大統領と初の首脳会談、北京については打診中と慎重な見方をしている。「韓国はもともと中国のように靖国参拝中止を会談再開の条件にしていたわけではない(外務省筋」という判断がある様だ。これに対して中国側は日本政府の打診に対し、会談の前提として首相の靖国参拝自粛を求めており、調整はついていない。(朝日)
安倍首相の訪中、訪韓が、ここまで明らかになると「調整がつかないので日延べする」とはいかない。北京訪問が先になり、ソウル訪問が後になると中国首脳とのトップ会談で靖国問題が、どう取り扱われるか。それは盧武鉉大統領とのトップ会談にも影響するおそれがある。「靖国参拝の有無については明らかにしない」という安倍首相の姿勢で、中韓両国の首脳会談を乗り切れるか不透明である。
火中の栗を拾った観がある北京、ソウル訪問。「両国とは未来志向で関係構築を目指す」という”うたい文句”で首脳同士が握手することになれば良いが、中国側が靖国参拝自粛を強く求め、それに曖昧な態度で凌ぐことになりかねない。この時期に中韓両国を訪問する必要があるのか、という国内批判も出るかもしれない。
これがハト派と称する谷垣首相(?)の訪中であったら、媚中・土下座外交と激しい批判を受けたであろう。70%という高支持率を背景にしたタカ派(?)の安倍首相だから反対を押さえ込めるという期待があるのかもしれない。さて、どうなることか。竜頭蛇尾に終わらせてはいけない。
223 安倍首相の訪中、訪韓 古沢襄

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