<1型糖尿病
1型糖尿病(いちがたとうにょうびょう)(ICD-10:E10)は、インスリンの供給異常による糖尿病。血糖を下げるホルモンであるインスリンの分泌が低下するか、ほとんど分泌されなくなるため血中の糖が異常に増加する病気である。
20世紀前半にインスリンが治療応用されるまでは、極度の食事制限を要する致死的疾患の1つであった。膵臓のランゲルハンス島でインスリンを分泌している細胞が死滅する事によって起こる。
根本の原因は現在解明されていないが、膵組織にはリンパ球の浸潤が見られ、炎症性のメカニズムが想定されている。血中に自らの膵細胞を攻撃する自己抗体が認められるものを1A型(自己免疫性)、ないものを1B型(特発性)とする。
飲み薬は無効で、患者はかならず注射薬であるインスリンを常に携帯し、毎日自分で注射しなくてはならない。インスリンを注射しなければ、容易に生命の危険に陥る。また、1型糖尿病のなかでも、「劇症1型糖尿病」という数日間でインスリンが枯渇するさらに危険な病もある。
2型糖尿病
2型糖尿病(にがたとうにょうびょう)(ICD-10:E11)は、インスリンの消費の異常による糖尿病。欧米ではインスリン抵抗性が高まる事が原因のほとんどを占めるが、日本では膵臓のインスリン分泌能低下も重要な原因である。
前者では太った糖尿病、後者ではやせた糖尿病となる。遺伝的因子と生活習慣がからみあって発症する生活習慣病。糖尿病全体の9割を占める。>出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本では糖尿病といえば中年のかかる2型が大部分。しかもこれは、遺伝的因子があるとはいえ、殆どのきっかけは運動不足と肥満であるから「生活習慣がからみあって発症する生活習慣病」と言われ、中年だけの病気と考えられてきた。
ところが1990年代に入って子供の肥満による糖尿病が数千人に1人の割合で見つかるようになってきた。飽食の時代が始まって何年だろう。戦中戦後の貧食?の時代は糖尿病なんて聞かなかったし、まして子供の2型糖尿病なんて、聞いたことがなかった。
これは発見のきっかけがあったからでもある。つまり子供の身体検査で尿糖検査なんてしなかったものだが゙、1990年代からするようになったからである。
産経新聞(2006・10・02)によれば、肥満度50%以上と言う高度肥満の子供が最近増えた。中3男子生徒の例。母子家庭で母親が留守がちのためインスタントや冷凍食品中心の食生活。運動らしい運動は殆どしなかった。
その結果、中学入学前後に一気に20-30キロも太り体重は100キロを超えて、検査の結果「2型糖尿病」と診断された。
糖尿病は発症しても自覚症状がない。自覚症状が出るまで10年以上かかることが多いそうだ。しかも自覚症状が出たときには深刻な状況となっている。この生徒も太ったとはいえ検査しなければ糖尿病は発見できなかった。
血液の中の糖分の過剰な状態が続くと、ガソリン車に砂糖をぶち込むと、エンジンが駄目になるのと同じで、毛細血管が内部から破れたり詰まったりする。脳卒中、心臓病、腎不全、目の網膜症(盲目)、足の壊疽などが起きる。
世間では「子供は2型糖尿病にはかからない」との「迷信」が流布されているし、太った子ども自身も自覚症状がない以上、インスタントやレトルトの食品を食べ過ぎるな、運動をやれと言われても、守る事は難しかろう。
この病気は今の医学では一生、治癒はしないが、医師の適切な指示を守れば、若死にすることはない。何もしなければ他人より10年は早く死ぬとされている。
私の周囲の例では60に満たない女性が、最近のある日、突然、目が見えなくなり、病院に行ったところ糖尿病による網膜症と分った。しかも全身の浮腫みは腎機能の不全からと分り、いきなり週3回の人工透析開始と宣告されてしまった。
女性は若いときに遺伝的因子から糖尿病と診断されていた。しかしこれといった自覚症状のないまま油断していた。その間、高すぎる血中高糖度は毛細を含む血管を内部から蝕み続けていて、気がついた時は既に手遅れだったのである。
本人の落ち度であることは尤もだが、仮に夫たる人に糖尿病の知識があれば、こうはならなかっただろう。本人が厭がっても通院させ、適正な対処療法が施され、いきなり人工透析という悲劇にはならなかったはずだ。
だから、身内の子供が最近、太りすぎと言うことなら、積極的に診察を奨めたほうがよい。本人は厭がっても周囲が気をつければ何も怖いことにはならない。説得をしり込みする大人が悪いのである。子供の健康には大人が責任を負っているのだから。2006・10・08
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