235 北朝鮮の地下核実験 古沢襄

北朝鮮の国営朝鮮中央通信は9日午前11時半ごろ、「地下核実験が成功裏に実施された」と報じた。北朝鮮の核実験について日米両国が緊急に迫っているという見方をしていたので、それが不幸にも当たったことになる。
これとは正反対にロシアは最長で三ヶ月の余裕があるという見方が出ていた。平壌に駐在するロシア軍当局者の情報が根拠になっている。北朝鮮の軍部から得た情報なのだろうが、体よく騙された結果となった。
もう一つ注目すべき情報があった。北朝鮮軍部が核実験に反対する中国に反発して、核実験を早めるよう金正日国防委員長に働きかけたという。情報ソースが明らかでないが、あり得る話である。
韓国地質資源研究院は午前10時35分ごろ、北朝鮮の咸鏡北道金策市付近でマグニチュード3・58から3・7の規模の地震波を感知したと発表している。一方、米国はM4・2、日本の気象庁はM4・9と計測している。震源は北緯40.81度、東経129.10度の地点。
米政府高官によると中国は核実験の20分前に北朝鮮から通告を受けていたという。ワシントンから英国のロイター通信が伝えてきた。中国はすぐに、米国と日本、韓国に連絡した。中国外務省が異例ともいえる早さで、核実験実施に対する批判的な声明を出した。
この狙いは二つあると思う。一つには北朝鮮が、広島・長崎型の原爆を持つことないよう北朝鮮に対して圧力を加える一方で、米国が海上封鎖、北朝鮮に入港する船舶の臨検、さらにはピンポイント爆撃など制裁をエスカレートさせないよう自重を求めるのではないか。中国は制裁よりも説得にウエートを置いている。
核実験をしたからといって日本を射程におさめているノドン・ミサイルに核を搭載するまでには至っていないであろう。核を小型化するまでは、あと二年はかかるというのが、専門家筋の観測である。だから安心だというのは一時的な気休めに過ぎない。北朝鮮が危険な国家だという認識を新たにして防衛体制を固めることだと思う。

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