私はかねてから米民主党は二年後の大統領選挙にヒラリー・クリントン上院議員を擁立し、米政治史上で初の女性大統領が誕生する可能性があると指摘してきた。またヒラリー・クリントン大統領になれば、米国の対外戦略が劇的に変化し、むしろ内政政策を重視する方向に走るとみている。これは日本との軍事同盟にも少なからず影響を及ぼす。
ブッシュ政権のイラク政策は失敗している。泥沼化した状態の中で四苦八苦している。米国民は明らかにイラクからの撤兵を求める政策変更を求めているが、同時にブッシュ政権の下では劇的な変化が望めないとみているようだ。このままの状態で大統領選挙を迎えれば、民主党がヒラリー・クリントン上院議員を擁立すれば、雪崩現象が起こる可能性も否定できない。
ワシントンからの共同報道は、ブッシュ政権のチェイニー米副大統領が、その見方を肯定して危機感を表明したと伝えてきた。チェイニー米副大統領は24日、米FOXテレビのインタビューで、2008年の次期大統領選で民主党のヒラリー・クリントン上院議員が勝利する可能性は十分あると明言したという。
副大統領はヒラリー氏を「手ごわい候補になる」と評価。「私はほぼすべての論点で彼女に同意できないので勝ってほしくはないが、彼女を過小評価すべきではない」と述べ、ヒラリー氏が出馬し予備選を勝ち抜けば、共和党にとって相当厳しい戦いになるとの認識を示している。
正直にいえばヒラリー・クリントンの対外戦略は聞いたことがない。ヒラリー・ダイアン・ローダム(Hillary Diane Rodham)・・・1947年、イリノイ州シカゴに衣料品店を営む両親のもとに生まれた。一家はメソジスト宗派であり、彼女はイリノイ州パークリッジで成長する。父親のヒュー・ローダムは保守主義者であり、繊維業界の大物であった。母親のドロシーは専業主婦であり、ヒラリーには二人の兄弟、ヒューとトニーがいる。
彼女は幼少時からスポーツに興味を持ち、テニスやスケート、バレーなどを楽しんだ。メイン西高校を卒業後1965年にマサチューセッツ州の名門校であるウェルズリー大学に入学、同校を優秀な成績で卒業し、1969年にイェール大学ロースクールに進んだ。ロースクール時代に知り合ったビル・クリントンと結婚。夫婦揃って弁護士として活躍した。(ウイキベデイア)
アーカンソー州知事だったビル・クリントンが大統領になって、ヒラリー・クリントンは米国のファーストレディーとして一躍、脚光を浴びた。クリントン政権で医療保険改革に積極的に取り組んで注目されたが、あくまで内政の顔であった。コンドリーザ・ライス国務長官のような確たる外交政策の持ち主とは思えない。
もともと民主党内でも左派色が強く、右派の反発があるという。右派色が強い共和党や支持母体のキリスト教右派の反発もあるので、米政界を二分する大統領選挙になる公算が大きいと思う。
ヒラリー・クリントンに対抗できる共和党の大統領候補は誰か?二年後の予測は難しいが私はコンドリーザ・ライスしかいない気がする。これも米政治史上、初の女性対決になるのだが、コンドリーザ・ライスが右派だけでなく黒人層やヒスパニック層などの支持を集めれば、共和党にも勝機が十分にある。
そのためにはブッシュ政権がイラク政策を大胆に転換する必要があるのだが、二年後までもたくつことであれば、コンドリーザ・ライスでも勝てない。北朝鮮の核実験をめぐって世界を駈けめぐったライス国務長官を見ながら、ブッシュ政権はライス国務長官の露出度を高める戦略をとるとみた。チェイニー米副大統領の発言は、その脈絡で読んだのだが、どうであろうか。
253 ヒラリー・クリントンが次期大統領か? 古沢襄

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