254 沖縄知事選後の党紀委員会で復党 古沢襄

安倍首相と小泉前首相の手法の違いが顕在化している。安倍が手堅い組織型とすれば、小泉は奇想天外な奇襲型。国民の側からすれば、劇場型の小泉手法の方が面白く、喝采をおくる。だが、その一方で大衆の人気ほどうつろい安いものはない。
早い話が小泉内閣にとって最後の国政選挙となった千葉七区の衆院補選では、自民党は劇場型総選挙で当選した刺客議員を送り込んで、夢よもう一度の戦術をとったが、あえなく敗北している。永田偽メール事件を背負った民主党は、小沢代表を先頭にして徹底した組織重視の選挙で勝利をものにしている。低投票率下の選挙の戦い方は、組織を固めた方が勝つ。
これに懲りた安倍自民党は神奈川十六区と大阪九区の衆院補選では、やはり組織重視型の選挙を行って、二つとも勝利した。組織選挙になれば、層の厚い自民・公明連合軍に利がある。投票率が低ければ、劇場型よりも組織型の方が有利なことが証明された。
来年は参院選で安倍自民党と小沢民主党が真っ正面からぶつかる。来年の参院選は十二年に一度訪れる「亥年参院選」。過去のデータでは、亥年参院選では投票率が目立って低くなる。直前に統一地方選挙があるので、投票疲れをした選挙民の足が遠のく現象がでている。低い投票率を前提にすれば、徹底した組織選挙の方が有利なことは言うまでもない。
公明党・創価学会の組織票には定評がある。これに対して自民党の地方県連は郵政政局でおこった亀裂が完全に癒えていない。この修復が焦眉の急であることは、子供でも分かる理屈であろう。小泉首相が官房長官当時から、郵政造反議員の復党問題に積極的だったのは、参院選で勝つためには復党問題に手を染めなくては、小沢民主党の後塵を拝するとみたからだ。その前提には亥年参院選は投票率が低くなる認識が背景にある。
したがって十一月十九日に投開票の沖縄知事選が終われば、党紀委員会(笹川堯委員長)で復党問題を審査、政権公約遵守を確認して、造反議員らの復党を決定する運びとなろう。これに反発しているのが武部勤前幹事長。「参院サイドは落選議員も全員復党させてくれというが、そういう人たちも党紀委員会の審査対象だ。いいかげんに手続きも踏まずに水に流すようなことがあれば、参院選も統一地方選もどえらいことになる」という。
郵政総検挙で初当選した新人議員も穏やかではない。小泉前首相も安易な復党論には異論を唱えている。復党批判の急先ぽうは、小泉前首相の秘書官(警察)を務めた小野次郎衆院議員(比例南関東)ら。
小野氏らは「復党問題については慎重に」とする内容の意見書を26日の総会で公表し、賛同を求めている。最終的には署名を募り、意見書を党執行部に提出した。民主党の鳩山幹事長まで割って入って、小泉チルドレンを斬り捨てる自民党と煽り立てた。
だが公平にみれば参院選を勝ち抜くには、復党組も刺客組も一つになって小沢民主党と戦うしかない。そのうえで来るべき総選挙では力の強い方が公認候補として生き残る。自民党のみならず野党も、そのようにしてきた。次の総選挙でも小選挙区で民主党候補に負けても、比例一位で生き残ることを期待するようでは選挙にならない。
選挙地盤が固まっていない新人議員には酷なことを言うようだが、当選回数を重ねてきた議員たちは、その経験をしてきている。一回こっきりで姿を消した議員たちもいる。そうならないためにも選挙区の地盤作りに精を出すことではないか。議員になるか、なれぬかを決めるのは選挙民であることを忘れてはならぬ。

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