255 生きた法輪功から臓器摘出! 渡部亮次郎

『週刊新潮』2006年11月2日号が、中国共産党から生きたまま臓器を摘出され続ける集団「法輪功(ほうりんこう)」学習者たちの惨状を初めて報じた。
<中国が、いま最も血道をあげているのが気功集団「法輪功」に対する弾圧だろう。今年の4月20日、ホワイトハウスで行われた胡主席の歓迎式典で、スピーチを遮ってブッシュ大統領に叫んだ女性がいた。
「胡錦濤に殺人を止めさせてください!」
「中共は法輪功学習者の生体から臓器を摘出している!」
声の主は、中国共産党を徹底批判してきたことで知られる『大紀元時報』の記者だが、この言葉に、それまでにこやかだった胡主席の顔が一気にこわばった>
法輪功。東京・秋葉原で活躍する中国人が散見されるが、日本人の信者は少ないせいか、一般には馴染みがない。莫邦富という人がマイクロソフトの百科事典「エンカルタ 百科事典 イヤーブック 」の1999年8月号に執筆したものを、長いが引用、紹介する。
<非合法組織とされた気功集団・法輪功 
1999年4月25日、約1万人前後の法輪功の気功修練者が北京の政治的中枢地域である中南海をとりかこみ、大規模な座り込みを行った。89年天安門事件以来の大規模な示威行動だったため、これまで海外ではほぼ無名に近かったこの気功集団が、これで一躍世界に名をはせた。
予期せぬこの気功集団の示威行動が中国政府に大きな衝撃を与えた。建国50周年を控え、安定と経済発展を最大の課題にしている中国政府は7月22日、法輪功を非合法化し、同29日法輪功の代表である李洪志(リー・ホンチー)を指名手配し、国際刑事警察機構にも身柄拘束の依頼をした(未拘束)。
中国国内では大規模な法輪功取締キャンペーンをくりひろげ、法輪功メンバーの転向を迫った。
法輪功のなりたち
公称1億人のメンバーがいる法輪功は92年に創立された気功集団だ。創始者の李洪志は52年チーリン(吉林)省コンチュウリン(公主嶺)市生まれで、元国有企業の職員だった。84年から法輪功の創立に力をいれた。
最初のころは公安部(日本の警察庁にあたる)の外郭団体に所属する形で法輪功の「伝教」活動を大々的に繰り広げた。『転法輪』など李洪志の説法講演を集めた著書は法輪功の主要「教典」とされる。
中国では79年から改革・開放路線が実施された。ほぼそれと同時に在来の健身法のひとつとして大衆に広く認知された気功も大きなブームを巻き起こした。
自らの存在を脅かす勢力の出現に非常に神経質な中国共産党は、健身を前面に打ち出す気功の集団修練に対しては、取り締まったり抑制したりといった厳しい姿勢はとらず、むしろ大衆の関心が健康に移ったことを是として奨励してきた。こんな環境の中で、法輪功をはじめ一部の気功集団が規模を拡大させた。
人々の信仰の空白をうめる
一方、改革・開放路線が進むにつれて、市場経済の度合いも増してきた。経済を大きく発展させたと同時に、弱者や負け組に対しては容赦ない一面もみせた。
国有企業の倒産が相次ぎ、従業員の多くがリストラの嵐にさらされ、老後の生活を支えてくれるはずの年金もいつの間にかあてにできなくなってしまった。
社会主義、毛沢東思想という心の支えを失った人々が、鄧(とう)小平が提唱する「豊かになれる者から豊かになれ」という勝者賛美の路線に必ずしもついていけるとは限らない。
市場経済の負け組となった人々の心には信仰という大きな穴があいてしまい、心的不安が増幅する一方だ。彼らは、傷だらけとなった心の傷を癒やしてくれる新しい精神的な支えにうえていた。こうした現象を中国では信仰の空白を意味する「信仰真空」と呼んでいる。
この信仰の空白を埋めたのが法輪功である。法輪功は単に健身方法を学ぶに止まらず、「真・善・忍」を中心とした「宇宙大法」を身につけることで来世はより次元の高い世界に行けるという理念を説いているのが特徴である。
人々の頭を悩ます日々の暮らしや病気の問題は、法輪功では「業」だとみなしている。リストラされて生活が苦しいとか、肉体的に病気に苦しんでいるなどといったことは、すべて当人が前世に悪事を働いた因果であり、第3者の力でこうした苦痛を安易に軽減させたり、解消することはできない。
自分自身の修練によってこれらの苦しみを無くすよう努力しよう。そうすれば来世はより次元の高い世界にいくことができる。
このように法輪功を修練し、努力した人に対しては、代表の李洪志はより次元の高い世界へ導くことができるとしている。こうした希望に満ちた将来を目指して、苦しみに満ちた俗世を忍耐強く生きていこうと、法輪功のメンバーは教え込まれているのである。
中国政府と共産党に対決
法輪功が説くこうした教えは、国有企業が集中する北方地域で多くの人を惹き付けた。中南海を包囲した座り込みの参加者の多くがリャオニン(遼寧)、シャントン(山東)など北方地域からやってきたのもそのためである。
法輪功も信奉者が多いことを武器にして、中国共産党と対抗しようとする姿勢をみせていた。代表の李は99年6月2日に「私の所感」という声明文を発表し、その中で、「(法輪功のメンバーたちは気功修練が妨害されている)この不公正にさらされている中でどれほど長く耐え忍んでいられるかは分からない」と逆に中国政府と共産党を脅迫した。
耐え忍ぶよりもむしろ対抗の方向に走る様相をみせた法輪功に中国政府は大きな脅威を覚え、遂に法輪功を非合法組織に指定し、その活動を全面的に禁止する措置をとった。
だが、心に関する複雑かつ深刻な問題だけに、一元的な行政手段で果たして狙い通りの効果が得られるのかという疑問は残る。>(エンカルタ 百科事典 イヤーブック 1999年8月号より(c) Microsoft Corporation. All rights reserved.)
週刊新潮によれば、当時、国営通信「新華社」が「共産党員は6000万人なのに、法輪功は7000万人」と報じたことから、当時の総書記江沢民が「3ヶ月以内に壊滅させろ」と命じて弾圧が始まった。
法輪功日本支部である日本法輪大法学会の鶴園雅章代表が週刊新潮に語ったところによると、弾圧が始まって以来、判っているだけで殺された者は3000人、実際は10,000人近いという。
しかも問題なのは、亡くなった人の中には生きたまま臓器を摘出されたケースがたくさんあるということ。角膜や腎臓などが摘出された後、火葬されて遺骨だけが遺族に届く。
鶴園雅章代表が言うには「事実、中国国内の臓器移植を扱う病院に聞くと、法輪功から臓器を取っている、法輪功だから若くて健康な臓器だ、などと平気で答える」と言う。こうした臓器を受けた日本人がいないとは断言できないだろう。
こうした事実は『大紀元日本』では連日のように報道され、私のメルマガでも出来るだけ紹介しているが、日本のマスコミは、中国政府への「配慮」からか、一切、報道しない。今回、週刊新潮が取り上げたのが初めてではないか。
実は10月16日には日本戦略研究フォーラム主催の「恐るべき中国の臓器移植の実態」と言う報告会が開かれてそうだが、報道は一切されていない。
週刊新潮によれば、集会では、法輪功学習者から生きたまま臓器を取り出したという医師の妻の証言も出たという。櫻井よしこさんは同誌の結びに「この問題は中国自身が21世紀の大国として存在する意義があるのかを問われている」と指摘している。2006・10・27

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