「紀伊民報」(11月29日)によれば、木村良樹知事の辞職に伴う和歌山県知事選(12月17日投開票)の告示(11月30日)を目前に、民主党和歌山県連(岸本周平代表)が27日、候補者擁立を正式に断念した。
この結果、知事選は事実上、自民、公明党が推薦する経済産業省OB、仁坂吉伸氏(56)と共産党推薦の元銀行員、泉敏孝氏(69)の一騎打ちとなる公算が強まった。
民主党には、第3の選択肢を期待した有権者から批判が出ている。
独自候補の擁立をあきらめ自主投票とした民主党県連は27日の常任幹事会で、岸本周平代表が党本部の鉢呂吉雄・選挙対策委員長と協議した結果、串本町議の清水和子氏(60)の擁立を断念することになったとの結論を報告した。
岸本代表は清水氏擁立断念の経緯について「知名度が非常に低く短期間の選挙で戦うのは難しい」「惨敗する危険性がある」「負け方によっては致命的なダメージを受ける」などの意見があり、意見を集約することができなかったと説明した。
岸本代表は候補を擁立できなかった責任を取り、県連代表を辞職した。
水面下では清水氏の擁立に向け、紹介する号外ビラ約4万枚を用意し告示前までに配ろうとしていた。ポスターも8000枚印刷する準備を進めていた。県連役員の1人は「有権者に選択肢を与えられなかった責任は大きい。選挙に向けた動きは、これで終わり」と肩を落とした。
民主党県連には27日までに「候補者を出せ」など約100件の抗議の電話があったいう。
紀伊民報は<民主党の「脱落」で、知事選が低調に終わることも懸念される。自民党県連の下川俊樹幹事長は「うちは粛々とやるだけ。多くの人に仁坂氏の顔と名前を知ってもらえるようにしたい。議員一同精いっぱい頑張っている」と話す。告示日には、石原伸晃・党幹事長代理が応援に駆け付ける予定。
一方、自民党への批判票取り込みで民主党の動向を注視していた泉氏の陣営は「出ると出ないとでは戦略に影響する。談合事件への県民の怒りをどう支持に結びつけるかが課題」と話す。>と報じている。
連絡をうけた民主党本部では、小沢一郎代表が27日、菅代表代行、鳩山幹事長と会談。28日付の産経新聞によれば「残念だったと肩を落とした」そうだ。自縄自縛を露にしたからである。
小沢代表ら3人がが今年5月、知事選や政令指定都市の市長選で、自民党、公明党との「相乗り禁止」を打ち出した結果、組織の弱さに加えて候補者に適材の無い「人材難」を直ちにさらけ出したわけだ。
民主党が政権奪回のきっかけと位置づける来年の参院選では、決め手の1人区で勝利するためには知事選と選挙区が重なるため、自民や公明の支持を持たない知事を作っておくのが先決という理屈。
理屈はその通りなのだが、このように和歌山県の場合は人材難を露呈し、「巨大与党に勝負を挑みたくても、土俵に上がれないのが現状だ」(産経新聞)。
そもそものきっかけは7月の滋賀県知事選で相乗りした候補者が敗北を喫したことだった。このため8月の長野、香川両知事選で独自候補の擁立を断念。今回も和歌山で見送りとなり、戦わずして敗戦という情けないことになった。
そんなことはない、11月12日の福島知事選では勝ったというだろうが、あれは民主党の勝利とは言えない。元は自民党田中派幹部だった渡部恒三の甥で永年、秘書として自民党時代からして30年も地元の面倒を見てきた人物が勝ったのであって、民主党勝利とは牽強付会というものだ。
それでも民主党の相乗り禁止は続く。30年以上も相乗りだった来年2月の愛知県や4月の岩手県知事にも独自候補を出す。小沢代表の地元岩手での勝利は可能性大だろうが愛知の事は分らない。
産経新聞(28日)によれば相乗り知事に支持者を後援会に抱える国会議員からは「あまり相乗り禁止を徹底させないで欲しい(若手)という「悲鳴」が漏れているという。小沢原理主義の犠牲者といえるだろう。2006・11・29
305 小沢原理主義の悲鳴 渡部亮次郎

コメント