亀井静香氏という政治家は政局の節目で必ず姿を現す。昨日の敵は今日の友で変幻自在、変わり身の早さで定評がある。人が好いのか、政局判断を誤って、アサッテの方に走りだすこともあるが、これはご愛嬌。どこか憎めないのは、明るい人柄なのかもしれない。
その亀井氏が16日午後、東京・富ケ谷の安倍首相の私邸を訪問した。安倍番記者に「(首相の父の)晋太郎元外相の仏前参りだ。毎年来ている。昨年も来た」と言って去った。お線香をあげるだけなら五分で足りる。二〇分も滞在したから憶測が飛びかった。
小泉首相とは犬猿の仲で郵政民営化に反対して自民党を離党したが、森首相とはウマが合ったのか、政調会長で汗をかいている。でも森、亀井は清和会で三塚後継をめぐって対立し、森会長に反発して清和会を脱藩した過去がある。
木に竹を接いだと悪評が残った村山政権のフィクサーという風評もある。安倍政権に対してはおおむね好意的な発言をしていたが、造反議員の復党については「国民を無視した政党のエゴだ」と痛烈に批判していた。返す刀で沖縄知事選の野党共闘には「共産党を含めた共闘はナンセンス。安全保障政策で考え方が違っている」と小沢手法をコキおろした。最近では小沢民主党に見切りをつけたという風評も流れている。
小沢民主党が共産党との共闘にこだわれば、安倍自民党が参院選で敗北することになっても、国民新党が自民・公明与党と組み、連立与党の一角をしめる構想を持ったのではないか、と亀井氏に疑念を持つ野党の声も出ている。
敵に回せば厄介だし、味方につければ、振り回される。そのくせ何となく憎めない。独特の動物的ともいえるカンの持ち主。やはり来年も亀井氏の動きから目を離せないということだろうか。小泉劇場ほどの”ど派手さ”はないが、亀井芝居には根強いフアンがいるから、新春早々の小屋がけに期待する人も多いのではないか。毒気に当てられた安倍首相のハクション!が聞こえる気がする。
333 変幻自在の亀井芝居小屋 古沢襄

コメント