340 九〇〇〇万を切る日本の人口 古沢襄

厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表した五十年後の日本の総人口は九〇〇〇万を切るという。その一方で日本は世界一の長寿国だから、人口の年齢構成からみれば老大国と化す。若年層が高齢層の年金を負担する現行方式を続けるには”赤信号”がつくと言ってよい。
年金だけでない。医療・介護などの社会保障から労働力の確保まで、幅広い制度の再設計が迫られる。と言って戦時中のように「産めよ、増やせよ」で、この危機を回避できるのであろうか。理想的なのは人口の年齢構成が円筒型で続くことである。加えて経済成長が一定のテンポで伸び続けることであろう。しかしこんな魔術師のようなことが、一気に出来る筈がない。
一つの問題提起をすれば、人口が本当に国力のバロメーターなのだろうかという疑問がある。眼をヨーロッパに向けてみる。イギリス(世界第21位=人口規模)とフランス(世界第20位)は六〇〇〇万、ドイツは(世界第14位)の八〇〇〇万。ついでながらイタリアは五八〇〇万(世界第23位)、スペインは四三〇〇万(世界第29位)。これらの国々は単純労働力の不足を移民で補ってきた。しかし、それが国内における差別、格差、治安問題を派生して移民の門戸を閉ざすようになった。
アジアではどうか。中国が十三億(世界第1位)、インドが十億六〇〇〇万(世界第2位)、日本の一億三〇〇〇万は世界第10位になる。北朝鮮は二〇〇〇万(世界第48位)、韓国はその倍の四〇〇〇万(世界第24位)。日本は韓国の三倍強の人口を抱えている。戦前の日本は北朝鮮・韓国を含めて一億の人口といっていた。
この狭い国土に一億三〇〇〇万の人口がひしめいている日本の現状を思えば、九〇〇〇万を切る人口になっても慌てふためく必要はないともいえる。問題は人口の年齢構成が極端な逆ピラミット型になるのを回避する方策にある。
私たち昭和ヒトケタ世代は八十歳前後になった。平均の生存年齢は十年間に満たない。戦後復興の担い手だった私たちの世代は間もなく消えていく。続くピークはベビーブーム世代だが、すでに定年を迎え年金受給組となった。生存年齢は平均して三十年間に満たない。これだけをみれば三十年後から徐々に円筒型の年齢構成に近づくかにみえる。
ところがそうではない。国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば①生涯未婚率は(現在の5%から)14%に上昇する②夫婦の平均出生児数は(現在の2.2人から)2.0人に低下する③将来の合計特殊出生率は1.61で安定する・・・と1997年に予測した。
一組の夫婦から二人の子が生まれても未婚者を考慮すれば、人口の減少傾向に歯止めがかからない。それを勘案した合計特殊出生率が1.61ということは、われわれの予想を上回るスピードで人口の減少が進行することを意味している。
九〇〇〇万を切る人口が五十年後もさらに続く事態も予想できる。半世紀後のことだから今から騒いでも仕方ない、では済まされない。新生児が一人前の社会人になるまでは二十年以上がかかるのだから「先のことだ」とノホホンとしているわけには参らない。
対応策としては、子育てで孤立しがちな母親を支える「社会全体の意識改革」のほか、企業による仕事と育児の両立支援策の充実や長時間労働の抑制など「働き方の改革」が指摘されているが、単一民族である日本人にとって抵抗感がある何十万人単位の若年層移民の受け入れについても政策的に考えねばならないのかもしれない
もうひとつ見逃せないのは、高度経済成長政策によって世界第二の経済大国になった日本経済にかげりが見えていることではないか。国家が豊かになれば、その富が国民に等しく分配されるとはかぎらない。経済原則からいえば、よりコストを下げ、より競争力を高めることが求められる。
国内的にいえば豊かな層は、より豊かになり、貧しき層は、より貧しさに捨て置かれる悪循環の兆しすらみえる。それが格差社会である。不況克服のために効率化、合理化を進め、市場原理を導入した政策を日本は取り入れたが、これが最高の政策といえるであろうか。
日本の眼は躍進しているかにみえる中国に注がれている。コストの安い人件費に魅力があるからである。だが共産主義体制の下で資本主義的経済発展を遂げる中国には、木に竹を接ぐ根本的な矛盾がある。今の中国の経済発展も外国からの投資に依存する借金体制なのだから”バブル経済”といってよい。バブルがはじけるのは目にみえている。
それに過大な期待を抱いて、国内産業は人件費が安い中国などに争って工場を移転し、農業は海外の農産物に依存度が高くなっている。その結果、日本の産業も農業も空洞化されている。日本の技術力とて、後進技術国家に模倣され、追いつかれる可能性がなしとしない。オールマイテイの幻想を抱いてはならぬ。中国経済が破綻すれば、日本経済も深刻な危機を迎えると思わねばなるまい。
悲観的なことをいう様だが、日本の根本的な体質を改善することが急務と思う。弱肉強食の市場経済主義が行き過ぎれば、貧富の差が拡大して社会不安を醸成する。小さな政府を志向しても、大きな政府の利点も合わせて考える複合的な視点が必要であろう。
エネルギー政策として中東の原油依存体質から脱皮せねばならぬ。フランスは原子力エネルギーに対する依存度が高いという。水力発電、原子力発電について、再考する時期にあるのではないか。
アメリカなど他国の模倣をするのではなくて、日本独自の経済発展がある筈だ。その歩みは遅くとも展望があれば、国民は受け入れてくれる。人口減少問題は、これらの政策課題に取り組む中で道が開けると思う。いたずらに悲観的になる必要はない。

コメント

  1. 民主党をはじめとする反日組織は、日本人弱体化のため、少子化推進政策を影で進めていると思われます。
    ・一人で行動する女の子はかっこいい
    ・離婚はかっこいい
    ・晩婚が流行している
    ・草食男児
    等のデマを流して国民を洗脳・意識改革し、少子化を推進して移民1000万人(最終的には一億人)計画の大義名分にしようとしています。
    しかも、欧米離れと韓国ブームを仕掛けて韓国人男性と日本人女性を結婚させて在日韓国人の増殖をたくらんでいます。
    しかし、最終的には中国人の方が大量に日本に上陸するため、韓国人も抹殺される危険性が高いことを彼らは知らないのでしょう。。。
    従って、韓国人は日本に見方した方が自国の平和が続くことを知るべきです。
    また、欧米系、イスラム系、台湾人など、中国の漢民族以外の全ての民族は迫害される可能性が高いです。
    マスコミは誰の手に落ちたのか
    http://www.geocities.jp/moai33jp/_gl_images_/kokusekihou.JPG
    【村田春樹】シミュレーション「もしも外国人地方参政権が成立したら?」[桜H22/1/5]
    http://www.youtube.com/watch?v=NlsikmAlAE4

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