346 韓国の対日外交に変化の兆し 古沢襄

中国情勢や韓国情勢は伊藤正氏と黒田勝弘氏の分析に頼るところが大きい。二人の共演をみる楽しさがある。次の様な記事は黒田氏だから書ける。ソウル駐在が長いこともあるが、分析力が優れている証左でもある。
【ソウル=黒田勝弘】韓国の外交通商省(外務省)はこのほど、宋旻淳・新外相の就任に伴い次官以下、一連の幹部人事を発表したが、日本勤務経験のある“知日派”が多数起用され注目されている。韓国外交については近年、外務省内でのいわゆる“ジャパン・スクール”の後退がいわれ、対日外交への影響を懸念する声が出ていた。今回の“知日派重用”の背景について、これまで強硬一辺倒だった盧武鉉政権の対日外交の変化につながるのではないかとする観測も聞かれる。
新しい幹部陣は趙重杓・第1次官、沈允肇・次官補、朴●雨・企画管理室長といったビッグ3が、いずれも日本勤務経験があり、アジア太平洋局で“日本課長”といわれる東北アジア1課長の出身。趙、朴氏はアジア太平洋局長も歴任している。
また近く交代する李赫アジア太平洋局長の後任にも、日本課長出身の知日派である金在信・大統領安保政策室担当官(局長級)が内定している。
今回の人事で話題を呼んでいるのは、ミャンマー大使から次官級ポストに抜擢(ばつてき)された李柱欽・外交安保研究院長。李氏も日本課長経験者で、日本勤務は駐大阪副総領事や駐日公使を含め4回を数える。金泳三政権(1993~98年)では大統領の日本語通訳も務めるなど日本通で知られる。
アジア太平洋局審議官時代に“ドゴール論”を書いた著書が盧武鉉大統領の目にとまり、大統領秘書室に新設された「リーダーシップ秘書官」に一躍起用され話題になった。今回の抜擢もこの因縁とみられている。
韓国外務省は潘基文外相が国連事務総長に転出した後、新外相に宋旻淳氏が任命されたが、宋外相は盧武鉉大統領の“自主外交論”の推進者として日米からは必ずしも好感を持たれていなかった。幹部人事における知日派の大挙起用は、今後の対日外交に幅を持たせるものとして、日本大使館をはじめ日韓関係筋は歓迎している。
日韓関係は安倍晋三首相の就任直後の訪韓や首脳会談復活などで改善の兆しを見せている。ただ今回の人事が本格的な対日関係修復につながるのかどうかは、しばらく見極める必要がある。

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