352 野党、軍長老、マスコミから盧武鉉批判 古沢襄

韓国の盧武鉉大統領の発言をめぐって韓国軍首脳OBたちが猛反発したほか、韓国マスコミも批判的なキャンペーンを始めた。朝鮮日報の姜天錫(カン・チョンソク)主筆は「盧大統領の精神状態はまとも」なのかとコラムで糾弾している。
反米・反日に傾斜し、北朝鮮との融和政策を推進してきた盧武鉉路線が、野党のハンナラ党から批判されて地方選挙で敗北したが、軍長老やマスコミからも厳しく糾弾されるに至ったことはただ事ではない。
産経新聞の黒田勝弘ソウル支局長の記事と合わせてお読み頂く。
【ソウル=黒田勝弘】韓国の盧武鉉大統領が最近の演説で「軍隊は若者を腐らせる」とか「これまで(韓国軍は)米国にとりすがって“兄貴だけが頼り”などとやってきた」と発言したことに対し、元国防相や参謀総長ら軍首脳OBたちが「軍に対する冒涜(ぼうとく)だ」と猛反発する声明を発表するなど対立が深まっている。
声明には盧政権下で合同参謀本部議長や陸軍参謀総長、海兵隊司令官などの要職にあった者も加わっているが、これらOBたちは大統領に謝罪を要求し、一部では“名誉棄損”で告訴すべきだとの声も出ている。
問題の発端になった大統領演説は21日、民主平和統一諮問会議で1時間10分にわたって行ったもの。政権批判に対する日ごろの不満を爆発させ、こぶしを振り上げ声を荒らげての“激情ぶり”に世論は驚いている。
盧大統領は演説で「何でも大統領がやることに反対すればすべて正義だとなっている」と不満を述べ、特に米軍との間の“戦時作戦統制権返還問題”について元軍首脳たちが「米韓同盟の弱体化につながる」と反対していることを強く非難した。
その際、「作戦統制をまともにできない軍隊を作っていながら国防相だ参謀総長だと威張っておいて、今度はその返還はダメだと反対声明を出している。これは職務放棄じゃないのか。恥ずかしくないのか」と述べ、さらに「米国のズボンのすそにとりすがり、米国の尻に隠れて“兄貴だけを信じます”というのが自主国家の国民安保といえるのか」と激しい言葉で批判を展開した。
また今後の国防計画で兵力削減や軍服務期間短縮に関連し「今や子供もたくさんは生まれなくなっているのだから、若者を何年も軍隊に入れて腐らせず…」と発言した。その後、大統領官邸の発表文ではこの「腐らせ」の部分は削除されたが、マスコミ論調をはじめ世論は「国民の義務になっている軍隊勤務を否定的に見ている」と批判し、軍首脳OBの声明も「70万の国軍将兵に対する深刻な冒涜」と非難している。
大統領演説は「北のミサイルは韓国には飛んでこないのは明白」とし、当時、国家安全保障会議招集など早朝直ちに緊急措置を取らなかったことを弁明したが、これについても声明は誤った安保観と批判している。
「盧大統領の精神状態はまとも」なのか
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は21日、民主平和統一常任委員350人を前にして70分以上にわたって熱弁を振るった。何かにとりつかれたかのように全身を震わせ、両手をポケットにつっこんでは抜き、時にはこぶしを握り、時には演壇をたたきまでした。
この時大統領がまくし立てた言葉を文章にしてみたところ、200字詰め原稿用紙で102枚にもなった。驚くべきはその分量ではない。単語一つ一つが想像を絶する毒気を放っていた。
大統領は70分間にわたって国民をこき下ろし、先達たちをあざ笑い、軍をばかにして、大韓民国の歴史を侮辱し、自らが任命した前首相に責任をなすりつけ、同盟国に言いがかりをつけ、新聞を愚弄(ぐろう)した。国民や歴代の指導者、韓国軍、大韓民国や同盟国、新聞が、次々と大統領の独善主義の犠牲となった。この無差別攻撃から無傷でいられたのは、盧大統領から「常識がある」と評価された北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記しかいなかった。
この日の大統領には実に「盧武鉉らしさ」がよく表れていた。ありのままの「人間・盧武鉉」の中身や考え方に触れた思いだ。しかし「盧武鉉らしい盧武鉉」は、決して「大統領らしい大統領」ではなかった。「大統領らしい大統領」なら、国民に対し、こうした言動を行えるはずがない。
盧大統領が語ったように、韓国民は「米国のズボンのすそにしがみついて、そのお尻の後に隠れ、僕は兄さんをどこまでも信じるよ」などと言ったことはない。また韓国民は米国が韓国から「もう帰ります」と言ったからといって発作を起こしたこともなければ、米軍の2個師団が外れたらみな死んでしまうかのように恐れおののいたこともない。ましてや大統領とその部下に「四六時中安保問題について騒ぎ立てて欲しい」と要求したこともない。これらはすべて大統領の創作に過ぎない。
盧大統領はかつて弁護士や判事を歴任した。その大統領がこうした事実無根な話を持ち出して、韓国民の名誉を傷つけたのだ。世界は広しと言えども、自国民をこんな風にこき下ろす大統領がほかに存在するだろうか。盧大統領は国民を甘く見ている。しかし自分が大統領になれたのも、かつて国民が票を投じてくれたからだ。今度はその国民から手痛いしっぺ返しを食らうことになるだろう。国民はこの日受けた屈辱を忘れない。
盧大統領は今年還暦を迎える。戦時作戦権問題に関し、盧大統領にどうか話を聞いてくれとした韓国軍の元幹部たちは、そのほとんどが80歳を越えている。大統領が産声を上げたころ、韓国戦争(朝鮮戦争)の戦火の中を戦っていた人々だ。名も知らぬ山野に戦友や上官や部下を葬り、遺体の代わりにアルミニウム製の軍籍番号札を持ち帰りながら、涙を流したかつての兵士たちだ。
大統領はこの老兵たちからの一度だけ会ってほしいとしいう要請をにべもなく断り、その時間に「ノサモ(盧武鉉を愛する会)」の会員らを呼んで、食事会を持った。そんな対応をしておきながら、盧大統領は彼らに「胸章をつけてやれ国防長官だ、参謀総長だと偉そうに振る舞ってきた」と暴言を吐いた。さらには「職務を放棄しているも同然だ。恥を知るべきだ」と叱責しさえした。
この国には道理というものが欠如しているらしい。「東方礼儀之国」と言われた国で、なぜこんな大統領が出てきてしまったのか。いくら節操のない世の中だとはいえ、これではあんまりだ。どうやったら軍の最高統帥権者から、国軍将兵らに対し「その大金(国防費)でモチでも買い食いしたのか」といった下品な言葉が飛び出すのか。やたらリンカーン大統領を引き合いに出す大統領だが、こうした無礼な語り口もリンカーンに学んだとでも言うのだろうか。リンカーンが聞けば、どう思っただろうか。盧大統領は国の品格を完全に破壊した。
大統領は韓国の歴史の一部を引っ張り出しては、「数百人、数千人を弾圧し、殺した国、それが韓国だ」と、民族の歴史すら侮辱した。「正義が敗北し、日和見主義がのさばってきた大韓民国の歴史」とした発言から更にエスカレートしている。
驚き、あきれさせられるのはこれだけではない。一国の大統領が「同盟国がイカサマ賭博を仕組んで、自分を手なずけようとした」と公の場で論じるとは、頭がどうかしているとしか思えない。世界の目に、大韓民国とその大統領はどんな風に映るだろうか。国民は恥ずかしくて世界に顔も向けられない。
大統領は国民が自分のことを「これを機に揺さぶりをかけてやれ。この馬の骨め」と考えていると言う。国民はそんな言葉を口に出していったことはない。大統領が自分一人でそう思いこみ、その恨みを国民にぶつけているのだ。
また大統領はこの日、「わたしの精神状態はまとも」と語った。「まともな精神状態」にあってもこれほどひどいなら、まともではない時はいかほどなのか。考えるだけでも恐ろしい。
大統領としての残りの任期である428日間もの間、韓国を盧大統領のいう「まともな精神状態」に委ねるわけにはいかない。このままでは韓国は粉々に分解してしまうだろう。

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