新しい年を迎えた。ニュースらしいニュースがないから、各紙が紙面作りに苦労した様子がうかがわれるが、初詣で大きな事故がなかったことが喜ばしい。統一地方選、参院選の年だから”政治決戦”の年といううたい文句が躍るが、自民、民主両党とも候補者擁立が越年した選挙区がかなりあるので、まだ具体性がない。先物買いということなのだろうが、”衆参ダブル選挙”という観測記事もあるが、いささか早トチリの観が否めない。
むしろ北朝鮮の核保有という新しい国際的な緊張事態に対して、日本国民の生命、財産を守るという視点のトップ記事がないのが気になる。非核三原則という虚構に斬り込む記事が見当たらないし、拉致問題を解決する長期戦略の提言もない。
今年は日本外交にとって正念場の年になると思う。日米軍事同盟の強化、北朝鮮に対する追加の経済制裁だけで北東アジアの緊張状態に対処できるのであろうか。中東のオイルに90%も依存するエネルギー政策が、脆弱な構造になっている点の指摘がされながら、それを是正する世論形成がされていない。
与野党の政治決戦という国内的な視野だけで元旦紙面が飾られるのはわびしい。日本は世界のローカルと自ら宣言している様なものではないか。韓国では人気低落の盧武鉉政権の起死回生の一打として、金大中前大統領か盧武鉉大統領の電撃的平壌訪問が噂されているという。それを笑うことは出来ない。
日本でも小泉前首相の平壌訪問が噂されている。いずれもクリントン米政権時代の劇的なカーター訪朝を意識したものだろうが、核を手にした金正日が無条件で核放棄に応じる筈がない。逆に米国の金融制裁を解除する様に求められてスゴスゴと帰ってくるのが目にみえている。小泉訪朝は日本の二元外交として誤ったサインを送ることになるから、断じてやるべきでない。それが人気低落の安倍政権のテコ入れになると思ったら大きな間違いをおかすことになる。
参院選で安倍自民党が勝とうが、小沢民主党が勝とうが、しょせんは猿山の陣取り合戦に過ぎぬ。安倍猿と小沢猿がいがみ合っている中に、北朝鮮は200基あるといわれるノドン・ミサイルに小型核を搭載する技術開発を進めるであろう。その時になって大騒ぎしても手遅れになる。
少なくともこれ以上、北朝鮮が核開発に狂奔する流れをくい止める外交展開を当事者である日本がリードする必要が迫っている。今年は日本外交にとって正念場の年になるという理由はそこにある。内向けのことに視点を奪われている様では、この危機状況を乗り越えることは出来ない。まさに外交元年の年ということを銘記すべきであろう。
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