401 自民党総裁と総理大臣の分離論 古沢襄

昨年に安倍首相が誕生した時に、この若き宰相に自民党内は大きな期待を持った。滑り出しも悪くない。小泉首相の下で関係が悪化していた中国との修復も成った。臨時国会でも小泉内閣で先送りされた改正教育基本法と防衛庁の省昇格関連法が相次いで成立している。
だが好事魔多し。安倍首相を支える閣僚の不祥事で悩まされる事態が頻発している。その多くは安倍総裁の実現で旗を振った議員というのも皮肉な結果となっている。新内閣の論功行賞人事が、結果として仇を為している。
人事権を持つ安倍首相が、過去の自民党実力者の様に強力なリーダーシップを持っている様にはみえない。遠慮がちとさえ見える。若き宰相に対して、それぞれが我こそが指南役という思いあがりさえかいまみえる。だから不用意な失言がポロッと出てしまう。
自分たちの不明を棚にあげて、この体たらくでは参院選は戦えないとおっしゃる。安倍総裁を担いだ参院自民党が柳沢厚生労働相の更迭論を唱えるが、この調子でラッキョウの皮を剥くように閣僚の首をすげ替えていたら、いずれ安倍内閣は野垂れ死にすることになりはせぬか。応援団?には、その深刻さが分かっていない。その場しのぎの注文を安倍首相につけているに過ぎない。
事は論功行賞人事にある。仲良しクラブは解散した方がいい。といって最高責任者だけがノホホンとして残るわけにはいくまい。さりとて総裁選挙をやり直すだけの時間的余裕もなければ、安倍総裁そのものに瑕疵があるわけではない。論功行賞人事が結果として裏目にでただけのことである。
ここは総辞職して新しい首相の下で出直して、参院選を戦う選択肢があるのではなかろうか。結果として自民党総裁と総理大臣が分離することになるが、それも新しいスタイルになる。安倍総裁の下で自民党執行部が新内閣に協力することになる。新内閣は官邸機能を充実させて、緊張感のある政権運営をすればいい。
だが、それだけの思い切った手が打てるかといえば、懐疑的にならざるを得ない。自民党総裁と総理大臣を分離する策は、これまでも幾度か浮上しながら見送られてきている。例外として多数党の自民党の河野洋平総裁が総理大臣にならずに、少数党の社会党の村山富市総理が誕生したが、厳密な意味では自民党内の総裁・総理分離ではない。自民党が政権復帰するための便法であって、結果はあまり芳しいものではなかった。さて、どうなるか。右往左往して時間だけが空しく過ぎるような気もするのだが・・・。

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