405 東国原知事のアッと言わせる離れ業 古沢襄

共同通信によれば宮崎県の東国原英夫知事は、副知事に知事選の対立候補だった元経済産業省課長持永哲志氏=自民、公明推薦=を起用することで打診を始めているという。持永氏も受諾に前向きな姿勢だという。
「お笑いタレント・そのまんま東」と軽くみていた筋もあったが、この離れ業をみるとたいした政治家ではないか。行政経験がない東国原知事にとって、通産官僚だった持永副知事が実現すれば、自分の足りない面をカバーできる。合わせてオール野党の県議会で自民党系の支持を確実にする効果が生まれる。まさに一石二鳥の策ではないか。
県民党を標榜する東国原知事だから奇策ではないのかもしれないが、それにしてもアッと言わせる人事構想で、とてもお笑いタレントの為せる技ではない。鳥インフルエンザ対策で東奔西走する姿勢といい、東国原知事は意外な大物知事になるかもしれない。
マスコミは誰か知恵者がついていると謎解きに追われるであろう。知恵者が仮にいるとしても東国原知事が決断しなければ、離れ業の人事が動く筈がない。敵を知り、己を知らば百戦危うからずというが、東国原知事が己の足らざるところを謙虚に自覚し、そのために何を為すべきかを知っている。
懸念すべき点がないわけではない。一つは知事選の中で東国原知事は「元官僚では改革はできない」と批判して当選しただけに持永副知事の起用はご都合主義の批判を逆に浴びる恐れがある。だが選挙の決着はついている。東国原知事のリーダーシップの下で副知事や県庁職員を官僚として使うことには何ら問題がない。
さらに、もう一つは持永副知事と県議会自民党が癒着して東国原知事を棚上げにしないかということであろう。トロイの木馬を城内に入れる懸念があるかもしれない。だが、それをすれば持永副知事と県議会自民党が県民の批判を受けるから軽々には動けまい。もしそのような動きをすれば、任命権者である知事が副知事を解任すれば良い。
タレント時代のそのまんま東氏は決して誉められるものではなかった。その失敗が肥やしになって東国原知事が誕生したと言っていい。過去は帳消しなったどころか、とてつもない”お釣り”がきそうである。再チャレンジの見本になるかもしれない。近頃、楽しみな知事が九州の一角で生まれたので、心から応援のエールを送りたい。この人事は何とか成功させたいものである。

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