「アーミテージ・リポート2」が話題となっている。原文はhttp://www.csis.orgでダウンロードできる。2000年に発表された「アーミテージ・ナイ報告」の第二弾である。レポート2は二〇二〇年までの対日戦略が基本になっているが、米国の知日派といわれるナイ元国防次官補、キャンベル元国防次官補代理、グリーン前国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長らも提言に参加している。
前回のリポートはブッシュ政権下での日米同盟強化の「青写真」となったといわれている。二年後に民主党大統領が生まれるか、どうか分からないが、今回のリポートは共和党・民主党からも超党派で安全保障問題の専門家が参加したというので、誰が次期大統領になるにせよ米アジア政策の基本指針になるとみてよいだろう。
全文を読んだわけでないが「日米同盟は米アジア戦略の要」とする一方で「中国とインドという二つの大国が同時に台頭するという前例のないことがおきている」と特に中国を意識した内容となった。
むしろ注目すべきは北朝鮮の核開発問題をめぐる六カ国協議の行方に懐疑的な見方を示した点であろう。この問題は朝鮮半島が統一されなければ、解決されないとしている。北朝鮮があらゆる核放棄に応じない可能性を予見して、日米があらゆるシナリオに備えるべきと主張している。その意味ではブッシュ政権内にある楽観説を戒める内容となった。
レポート2の第二の特徴は、日本が自国の防衛における責任を拡大するよう求めた点ではなかろうか。ミサイル防衛の予算増額など、日本に自国防衛により責任を負うよう求め、新型イージス艦の共同開発の検討の必要性に触れ、米側には最新鋭のステルス戦闘機F22を日本に配備すべきとしている。
アーミテージの横顔(ウイキペデイア参照)
レーガン政権の国防次官補代理だったリチャード・リー・アーミテージ (Richard Lee Armitage)は、一貫した”知日派”として、東アジアの安全保障問題にかかわってきた。ブッシュ政権下ではコリン・パウエル前国務長官の下で国務副長官。現在はシンクタンク「アーミテージ財団」の代表を務めている。イラク戦争では米政府内でパウエル前国務長官とともに反対の立場をとった。
日本や東アジア全般の安全保障に関する発言が常に注目を集める。アーミテージの名が一般に広く知られるようになったきっかけとして、2000年に対日外交の指針としてジョセフ・ナイらと共同で作成した論文「アーミテージ・レポート」(正式名称:INSS Special Report)の存在が挙げられる。この報告書においては日本に対し、有事法制の整備を要求する文言が盛り込まれた。これを契機に日本の政府与党は有事法制の整備に向けた検討を開始していく。
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件には対応に追われる大統領や国務長官らに代わり、米国側における日本との連絡窓口として奔走。この時に所謂「ショウ・ザ・フラッグ」(旗幟を明らかにしろ、日本の存在感を示せ)発言を行い、対テロリズムにおける自衛隊出動も視野に入れた積極的な支援・共闘を求めたといわれる。 イラク戦争開戦時には日本の役割を野球にたとえて「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」(陸上自衛隊の派遣を求めたと思われる)と発言したことでも有名になった。また、2004年7月には日本国憲法第9条を日米同盟の障害とする主旨の発言をして物議をかもした。
2005年6月6日、「筑紫哲也 NEWS23」に出演したさいに、靖国神社のことを聞かれ「主権国家である日本の総理大臣が、中国に限らず他の国から靖国神社に参拝してはいけないと指図されるようなことがあれば、逆に参拝すべきだと思います。なぜなら内政干渉を許してはいけないからです。もう一つは、全ての国が戦死者をまつりますが、それぞれのやり方で良いのだと思います」と主張した。
430 知日派アーミテージのリポート 古沢襄

コメント
お久しぶりです。懐かしいブログを拝見。取り敢えずメールをいれました。お元気そうなのが、なによりです。私のほうも72歳になったのを機に新聞社関係の仕事を整理、フリーな立場で雑用をこなしています。博多にも
お出掛け下さい。よいお年をお迎え下さい。 杉尾