437 危険なパキスタン人武装組織の動き 古沢襄

外務省のパキスタン・安全情報は、この地域のテロ情勢が悪化していると注意を喚起している。首都のイスラマバードやラワルピンディーで自爆テロを計画した容疑で、イスラム過激派の活動家二人が逮捕されたほか、カラチでは自爆テロ計画犯三人が逮捕された。未検挙のテロリストが逃走している可能性もあるという。
遠い国の話だと思ってはいけない。パキスタン情報筋は、日本国内で国際テロ組織アルカイダと関係の深いパキスタン人武装組織のネットワーク化が進んでいるとみている。米ABCテレビは、神奈川県の在日米陸軍キャンプ座間近くで起きた爆発音について、パキスタン情報筋がこのパキスタン人武装組織が関与した可能性を指摘していると伝えている。用心するに越したことはない。
日本の公安当局もパキスタン情報に神経をとがらせている。この武装組織は、アルカイダのナンバー3だったハリド・シェイク・モハメド被告=米国が拘束中=らの直接的な指示に従い、1999年ごろから構築された。普段は一般人と変わらない生活を送り、いざとなると行動する”潜伏細胞”の組織化のため、20人以上のパキスタン人が90年代後半、学生の身分の査証(ビザ)で日本に送り込まれたという。
モハメドはクウェート生まれでパキスタン国籍を持っている。1986年には米ノースカロライナ州立農業技術大学を卒業、モハメドの兄弟や親族の多くがテロ活動に従事しているとみられていた。このうちの一人は1993年の米世界貿易センタービル爆破テロの実行犯。
日本におけるパキスタン人武装組織の攻撃目標は、在日米軍の施設なのであろう。だが日米軍事同盟が強化されつつあるから、自衛隊の施設も狙われる可能性がある。不法滞在者も増えているから油断ができない。日本は北朝鮮のミサイルの攻撃目標となっているが、同時にパキスタン人武装組織の動きにも警戒する必要がある。それにしても国会では格差是正の論議一色で、危険な自爆テロの話はでてこない。平和国家・日本に酔いしれている時なのだろうか。

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