このところ奇妙な話が連発している。安倍首相の強い意向があって、郵政造反組の衛藤晟一元厚生労働副大臣(衆院大分1区で落選)の復党が近く実現するが、中川幹事長は衛藤氏が自民党比例代表候補として参院選に立候補する際には①衛藤氏の住所を大分県外に移す②大分県内では一切選挙活動をしないことを復党の条件に挙げ、衛藤氏も了承したという。友党である公明党との選挙協力を崩さない窮余の一策という事情は分からぬわけではないが、自民党は公明党・創価学会の協力なしには選挙を戦えないところまできていることを、まざまざと見せつけられた思いがする。
毎日新聞が東京・南青山の土地取引に関する疑惑報道をしたのは、米ファンド・サーベラスがからむスクープと思っていたが、サーベラスから毎日新聞を名誉棄損で提訴されて、あっさり和解した。この事件は暴力団関係者が関与した疑惑が持たれ、国会で国民新党の糸川正晃衆院議員が質問したのだが脅迫を受けている。
毎日新聞とサーベラスとの和解内容は「原告であるサーベラス側は、記事で触れられた土地取引の詳細について、関知せず、不適切な行為にはかかわっていなかったとの主張を毎日新聞社は理解する」というもの。何となく奥歯にものがはさまった竜頭蛇尾のニュースになったが、果たして誤報だったのであろうか。奥底が深い不気味な事件のような気がしてならない。
支持率低下がとまらない安倍内閣だが、ここにきて永田町では衆参同日選挙の噂がでている。それもほぼ100%の可能性だというから穏やかでない。解散・総選挙の大義名分はどこにあるのだろうか。参院選挙が不利な情勢だから、解散をするというのは、党利党略以外の何物でもない。
下手をすると昨年の郵政解散選挙で、大勝した自民党の議席を失い、野党に転落する自殺行為になるのではないか。コケ脅しのつもりなら、やめた方がいい。また衆参同日選挙をやれば、自民党が勝てる保証があるのだろうか。藪を突っついて蛇をだすことにもなりかねない。
北朝鮮の脅威が、これだけ現実のものになっている時に、国内政治の視点だけに囚われて右往左往するのはみっともない。1994年の北朝鮮をめぐる危機があった時にも、日本政治は細川内閣から羽田内閣と混乱をきわめて、社会党を首相とする自社さきがけ内閣という目まぐるしい国内政治で右往左往している。その歴史を繰り返してならない。
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