462 安倍首相は変わった? 古沢襄

安倍首相の変身ぶりが目立ってきたという。きっかけは「閣僚には首相への絶対的忠誠が求められる」とした中川幹事長の”お節介”発言。この発言は逆に読めば安倍首相にはリーダーとしての権威に欠けると言ったようなものだ。「心配していただく必要はない」と安倍首相が反発したのは当然であろう。皮肉なことに、これで閣僚たちは安倍首相を中心に結束を強めた。
忠誠心発言を逆手にとったのか、安倍首相は自民党総裁として中川幹事長に衛藤晟一元厚生労働副大臣(衆院大分1区で落選・離党)の復党、参院選比例候補で公認を迫った。郵政造反組で落選した衛藤氏については、中川幹事長は参院選前の復党には極めて慎重であった。
党総裁の意向とあれば、中川幹事長も逆らうわけにはいかない。逆らえば忠誠心がないとみられるからである。おまけに「支持率のために政治をやっているわけでない」と、安倍カラーを前面に押し出して、右顧左眄をせずに政局を乗り切る意向を示している。寝た子を起こしてしまったようなものだ。
片山参院自民党幹事長は「首相は変わった」と持ち上げる。国会でも民主党議員が内閣支持率の低下を突くと「内閣支持率を心配するよりも、民主党の支持率について考えた方がいいのではないか」と痛烈に切り返した。
開きなおると安倍首相は意外と頑固で強い。もともとタカ派である。憲法改正の手続き法である国民投票法案も五月三日までの成立を中川幹事長に指示した。国会対策上から考えれば、民主党を巻き込んだ慎重なやり方があるのだが、安倍首相は頑として譲らず、期限まで切った。
「首相になった次ぎの日から叩かれている。森元首相があんなに叩かれて、よく痩せないものだと思っていたのだが・・・」と叩かれ強くなった自分を誇示している。首相就任半年で、首相の座に恋々として、しがみつくのではなく、「なすべき政治の目標」に全力投球する志を固めたとみてよいだろう。捨て身になった安倍首相には、民主党も手こずる可能性がある。攻め方に一工夫が必要かもしれない。

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