福井県の黒田与作氏に続いて北陸からの便りがきた。富山県の菊池今朝和(あさと)氏から念願だった北アルプスの剣岳・池の平小屋の管理人になったという嬉しい知らせ。永年勤務していた新日鉄を卒業して、第二の人生を北アルプスで送ると聞いた時には驚いた。
日本山岳会の会員で、閑さえあれば北アルプスに登頂していた菊池氏だが、若い時ならともかく山小屋の管理人になるのは並大抵のことではない。下界で酒とタバコの好き放題のことをしていた私には信じられない決断であった。
北アルプスの阿曽原温泉から剣岳へ向かう北方稜線に「阿曽原温泉小屋」、「仙人温泉小屋」、「仙人池ヒュッテ」、「池の平小屋」と四つの小屋がある。仙人池ヒュッテから阿曽原間の登山道は、けっしてやさしい登山道ではないが、それだけに周囲の眺望は素晴らしい。高山植物の宝庫といえる。(山頂のマツムシソウ)(八峯の初雪)
夏山に備えてヘリコで資材を運び込み、「ようこそ池の平小屋へ」というホームページも完成した。あとは7月15日の山小屋開きを待つだけとなった。シーズン中の連絡先は、現地直通の「090-8967-9113」だが、発電中の朝7時から9時まで、夕方6時から9時までというから、下界とは趣が異なる。
http://www18.ocn.ne.jp/~wow046/index.htm
新装成った池の平小屋の遠景写真をみると下界の喧噪が嘘のような別世界。菊池氏は若い時に東京、上野の聚楽を皮切りに、蒲田、そして釜石と七年ほど料理人の経験がある。おまけに手習いの大工仕事が好き、掃除好きとくるから「山小屋の親父にはもっとも向いている」と自画自賛してはばからない。この手で案じる奥さんを説得している。(池の平小屋の遠景)
菊池さんは池の平小屋へのアクセス方法をホームページで次のようにお知らせしている。
宇奈月~(黒部峡谷鉄道・90分)~欅平~(下の廊下・、登り4時30分、)~阿曾原~(仙人谷・登り3時間)~仙人温泉小屋~(登り2時間)~仙人池ヒュッテ~(20分)~仙人峠~(30分)~池の平小屋。
室堂~(40分)~雷鳥平~(登り2時間)~別山乗越(剱御前小舎あり)~(下り40分)~剱岳沢小屋~(1時間20分)~真砂沢ロッジ~(60分)~二股(つり橋有り)~(登り2時間30分ー仙人新道)~仙人峠~(30分)池の平小屋
室堂~剣沢の小屋泊~北方稜線、剣岳経由~池の平小屋(岩登りコースですので、一般の登山者は立ち入れません)
黒四ダム~(下の廊下・5時間20分)~十字峡~(3時間30分)~阿曾原~仙人温泉小屋~仙人ヒュッテ~池の平小屋(例年下の廊下の開通は9月下旬頃です・・残雪が登山道をせき止めている)
黒四ダム~(1時間30)~内蔵助谷出合~(2時間10分)~内蔵助平~ハシゴ谷乗越(3時間)~真砂沢ロッジ~仙人峠~池の平小屋
<注意>
①ここ数年、仙人谷コース中、仙人温泉小屋下部の谷筋(谷を2ヶ所渡る)近辺の荒廃が進み、道もつど改修変更されてきましたが、昨年新たに安全なルートが開削されたと、阿曽原温泉小屋の佐々木泉さんの活動を伝える、NHKの番組で報じられました。新ルートは仙人ダム付近よりガンドウ尾根の支尾根を直登(現在のルートの対岸の尾根)、仙人温泉小屋を正面に見下ろす手前から、仙人温泉の源泉付近に下り、仙人谷を渡り、仙人温泉小屋に登るもので、そこから上は同じです。仙人温泉小屋付近からは対岸の新ルートがよく見えます。尚、筆者は新ルートをまだ歩いた経験がないので、歩かれる方は、阿曽原温泉小屋(シーズン中0765-62-1148)か富山県警山岳警備隊、黒部市など関係方面に確認されてからご入山されますようご案内いたします。
②コースタイムはただの目安ですので、体調、経験の有無によりましても変わってきます、またガイドブックなど精読の上、ご研究されてから、安全で楽しい山行をされますことをお願いします。
549 池の平小屋から下界へ便り 古沢襄

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