604 604 アジアでイージス艦の建艦競争 古沢襄

世宗大王艦とはたいそうな名前をつけたものである。
2050年までに日本はじめアジアで核武装国家がでると米国は危惧しているが、それより一足先に最強のイージス艦の建艦競争が始まった。韓国初のイージス艦「世宗大王艦」(7600トン級)が完成して25日、蔚山の現代重工業の造船所で進水式が行われた。台湾、オーストラリアもイージス艦の建艦計画を持つ。
進水式にでた盧武鉉大統領は「世宗大王の時代、世界で約50の発明があった。韓国が22、中国が3、日本が1~2だった。国力がどの時代よりも強く、北東アジアの平和が維持できた」と舞い上がっている。李氏朝鮮で王権の安定と儒者人材の輩出に努めた優れた王であることは分かるが、日本のイージス艦に「聖徳太子」の名をつけることなどは考えられない。
韓国メディアは「日本の最新鋭イージス艦『あたご』よりもシステムが精巧で、攻撃能力に優れている」(朝鮮日報)と愛国精神を鼓舞することに余念がない。日本の人口の三分の一しかない韓国が、どこまで日本と張り合うつもりなのか。
四囲を海に囲まれた日本や台湾、オーストラリアがイージス艦を持ちたがるのは分かるが、大陸にぶら下がった韓国がイージス艦に高い金を投じるのは分からない。単なる日本に対する競争心なのだろうか。北朝鮮と一緒になって日本を攻撃する野心があるのだろうか。
盧武鉉の「世界で約50の発明があって、韓国が22、中国が3、日本が1~2だった」なんていう話は聞いたことがない。最近、韓国の著名な学者先生が問題を起こしたばかりではないか。この大統領は時々こちらが戸惑う歴史認識を臆面もなく演説してくれる。
イージス艦はイージス・システムを搭載して、初めてイージス艦といえる。世宗大王なんてまったく関係ない。レーダーを搭載して、艦が傾くほどミサイルを載せたらイージス艦だと思うのは時代錯誤である。
イージスシステムはフェーズドアレイレーダー(AN/SPY-1)や対潜ソナー、対水上レーダーで探知したミサイル、航空機、水上艦、潜水艦など最大数百の目標のうち脅威となる目標識別・迎撃手段選定を自動で行う。同時多目標処理システムの能力と対応時間の短さが生命である。
ヨーロッパではスペイン海軍に続いてノルウェー海軍がイージス・フリゲート、F-310 Fridtjof Nansenを保有している。その設計はスペインのイサルとアメリカのロッキード・マーチンが当たり、米国のイージスシステムを搭載している。
世宗大王艦にもロッキード・マーティン社のイージスシステムから、対潜システムなどを省略して搭載する予定だという。日本初のイージス艦となった「こんごう型護衛艦」にイージスシステムが提供された際にも、対潜システムと電子戦システム等が省略された。「あたご型護衛艦」になって、米海軍のアーレイバーク級ミサイル駆逐艦と同等の装置が提供されている。
韓国は対潜システムなどの電子戦システムは、国産開発を行なわざるを得ないから、世宗大王艦の建艦費用が嵩み、1400億円を超えるとも噂されている。ケチをつけたくないが、韓国の造船技術やハイテク技術の水準では、無理な計画だと思う。
韓国型イージス艦には巡航ミサイルを30基配備するので、日本のイージス艦より強力な戦略打撃能力を持つと自画自賛している。巡航ミサイルだけでなく、長距離対潜ミサイルを搭載する128基のミサイル垂直発射機を搭載し、日本のイージス艦より多数のミサイルを装着できる・・・防御システムをなおざりにして攻撃システムを誇るが、転覆の危険を冒してまで、大がかりなミサイルを積載して、その矛先はどこに向けるつもりだろうか。
海軍の歴史と伝統がない韓国が、日本の海上自衛隊を相手に日本海大海戦ならぬ東海(?)大海戦に備えているとしたら大迷惑。韓国もとんでもない税金の無駄遣いをするものである。

コメント

  1. 通りすがり より:

    まあ半島国家と言っても北朝鮮のせいで陸路がふさがってますしねぇ。外洋海軍を持ちたいと言うのは分かりますが現在は北朝鮮、統一したら中国と向き合う国が正気の沙汰ではありませんね。

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