656 656 脱北事件について思う 古沢襄

脱北してきた四人の北朝鮮人については謎が多い。軍事専門家たちの間では”偽装難民”と疑う声すらある。警察庁の漆間巌長官が七日の記者会見で、これまでの取り調べについて次のように明らかにしている。
①四人は北朝鮮東北部の清津(チョンジン)近くの村落に居住していた②小泉前首相の訪朝や拉致事件の存在を知っている③北朝鮮の現状に関する不満や将来への絶望感が脱北の動機④韓国に向かうのは危ないので日本で唯一地名を知っていた新潟に向かった・・・というのが供述の主なところである。
漆間長官は「四人は日本に関して細かいことは知らないが、何らかの情報を得る手段を持っていた。また周囲に比べると経済的余裕があったとみられる」と述べている。
在ドイツのクライン孝子さんは「このニュースをキャッチした瞬間、私は恐らく北が送ってきた偽装難民だろうなと思いました」と言っている。
その理由は
1)あんな小船で日本の陸地を目指して簡単に漂流するなど、考えられない。海上保安庁も気が付かなかったということ事態、不可解である。
2)もしも本当の難民なら、北の港を出る瞬間に、監視の厳しい北の官憲に発覚されているはず。
3)漂着した港で「新潟の万峰号」と住民に尋ねているのは北の官憲からそこを目指せと智恵をつけられたと見ていい。しかも経済制裁でこの船の往来がストップしていることもあって、この言葉を吐くことで、日本のマスコミが記事にするのをあらかじめ予測し、日本人のお涙頂戴=お人好しにつけこんであわよくば、経済制裁解除へと日本の世論操作をつなげようとする、そこを狙って見せた。
4)一家は用意周到な難民としての道具も揃えているなど、世界のボートによる偽装難民知識に明るい=熟知しているのがどうも怪しい。これは北の官憲の智恵=手助けがないことには、不可能である。
5)その一方で、麻薬を所持しているなど、発覚しなければこれ幸いと日本の官憲を舐めて,どこまで日本の官憲の目をごまかすことが可能か、観察している一面がある・・・としている。
偽装難民であるか、どうかは別として北朝鮮は四人が無事に日本海を渡った事実を注目しているに違いない。
軍事専門家筋によると朝鮮戦争でウラジオストックを防御するために仕掛けられたソ連製触発機雷の係維索が切れて浮遊化したものの中には、津軽海峡を抜けて、苫小牧まで流れ着いたものすらあったという。これらは海上自衛隊・函館基地隊(主幹は第45掃海隊)によって処分されている。
ウラジオストックに近い北朝鮮の清津から対馬海流に乗って東北の海岸に漂着する場合があることは、別段、不思議なことではないわけである。それも海上保安庁の巡視船の警戒網をかい潜って漂着することが実証された。木造の小型船ならレーダーで補足されない。
これからは航続力の大きい低速の小型船外機をとりつけた工作船て、青森県や秋田県沖まで侵入するルートにも警戒しておく必要がある。工作船で日本まで辿り着けるというヒントを北鮮軍に与えてしまった。
日朝関係が一触即発の状態となれば、北朝鮮のコマンド部隊がこのルートを使って北東北の日本海岸に侵入し、白神山地~八甲田を夜間に縦走して、三沢基地や六ヶ所村の原子燃料施設に攻撃をかける事態も想定しておく必要がある。
四囲を海で囲まれている日本は安全のようにみえるが、逆に海岸線が長く、海上保安庁や自衛隊、警察力によっても完全な防備はほとんど不可能といえる。今回の脱北事件はあらためて日本の防衛に一石を投じたと考えるべきであろう。

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