663 663 ハイリゲンダムで靖国?? 古沢襄

ハイリゲンダム・サミットに出席した安倍首相は、中国の胡錦濤国家主席と会談したが、どこぞの新聞が予想していた台湾の李登輝前総統の靖国参拝は話題にも上がっていない。むしろ胡錦濤主席は「安倍首相の中日関係改善への努力を評価し感謝したい」と述べている。来年の日本訪問についても前向きの意向を表明した。以下はハイリゲンダムからの共同の記事。
【ハイリゲンダム=峯岸博】安倍晋三首相は8日午後(日本時間同日夜)、中国の胡錦濤国家主席と会談した。両首脳は主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)で焦点となった温暖化ガス削減問題の解決に向けて両国が協力していくことを確認。首相は胡主席に来年春ごろ来日するよう招請、胡主席は「来年の適当な時期に訪問したい」と表明した。
首相と胡主席の会談は、昨年11月のハノイ以来3回目。会談の冒頭、胡主席は「首相の中日関係改善への努力を評価し感謝したい」と表明。首相も「4月の温家宝首相の訪日は大成功だった。戦略的互恵関係は前進している」と関係改善ムードを強調した。
温暖化ガス削減問題に関して、首相は「2050年までに温暖化ガスの半減を目指す」ことを柱とする日本の提案を説明。中国やインドなどすべての主要排出国が枠組みに参加することが重要だと主張した。胡主席は「日本の提案を真剣に検討する。協力を強化していきたい」と応じた。
東シナ海のガス田開発問題では「両国が受け入れ可能な案を検討するため、秋に向けて協議を加速する」ことで一致した。首相は会談後の記者会見で、台湾の李登輝前総統の来日が首脳会談の話題に上らなかったと説明した。
日本の新聞は靖国参拝というと過剰に反応する習癖がある。内閣改造で新閣僚が任命された直後の首相官邸で、出てくる新閣僚に「靖国参拝をするのか?」とバカのひとつ覚えのような質問しかしない記者がいた。
閣僚が靖国神社を参拝すると「公式参拝か、私的参拝か」と群がって質問する。ハイリゲンダム・サミットにまで靖国参拝を持ち込む非常識には呆れてしまう。それしか考えることがないのか言いたくなる。日本の新聞が世界のローカルと言われる所以ではないか。
今の胡錦濤主席にとって最重要課題は、日中の安定した信頼関係を築くことであろう。反日路線の江沢民時代とは一線を画している。靖国参拝は中国にとって面白くないことには変わりがないが、そればかりあげつらっていれば、日中の関係改善は進捗しない。
日本側も同じ事情にある。あえて、これみよがしに靖国参拝をする必要があるのだろうか。神社に詣でるというのは”心”の問題に外ならぬ。参拝という形式をとらなくても、さきの戦争で亡くなった方々に慰霊の誠を尽くすことができる。父親が祭られている靖国神社には、そう頻繁には行っていないが、慰霊の心はつねにある。形式的な参拝よりも、その心がもっと大切だと考える。
「安倍首相の中日関係改善への努力を評価し感謝したい」という胡錦濤主席の発言は額面通り受け取っていい。お互いに非難し、突っ張りあう小泉・江沢民時代は、新しい局面を迎えつつある。この萌芽を大切にすべきではないか。

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