684 684 参院選公約の戦術転換は? 丸山公紀

産経紙6日付けによれば、自民党は参院選に向けた選挙公約(マニュフェスト)を発表したが、当初は憲法、教育、環境、地域再生など、国の方向性そのものを大上段から国民に問いかけようとしていたが、社会保険庁の年金記録紛失問題への批判を受けて年金問題を全面に打ち出すこととなった。
これまで自民党執行部は、5月中旬からの公約作成に取り組み、155項目の政策をまとめ、「平成22年に憲法改正案を発議」をメーンに据え、年金記録紛失問題は60番目に過ぎなかったが、この問題が浮上することによって、安倍内閣の支持率は急激に下落したことを受け、年金問題を最重要政策に位置付けた格好である。この構図は、3年前の参院選と同様で、民主が進出した記憶が蘇るが、安倍政権があるべき国家像を問いかけようとしていた矢先であっただけに残念である。
年金問題が時の安倍政権だけに問題があるとは言い切れまい。さらに言えば、年金受給者の登録番号を一括させた時点からの歴代の内閣と紛失になるおそれがあることをチェックすることができなかった野党の責任もあり、民主が鬼の首をとったかのように与党を攻撃しているが、国会全体が責任をとるべき問題であるはずである。民主の問題は、それを政府の攻撃材料にしていることである。
危惧するのは、国政選挙が往々にしてその時点のみの問題だけを炙り出すことによって、本来、国の将来にとって重要な憲法、教育問題をないがしろにしてしまうことだ。年金問題、郵政民営化(これは、小泉首相がこの問題だけに焦点を合わせ、野党への攻勢というよりも自民党内の反対勢力を攻撃するために使われた)、消費税など、確かに国民生活に直撃する問題を野党がしかけることによって、国民の怒りを背景として与党は苦杯を舐めてきた歴史がある。
しかし、自民党は年金問題解決に時期を含めて明確な解決策を提示することは勿論であるが、今回、選出される参議院議員が明確に憲法改正議論の当事者であり、直接に採決する当事者であることを考えれば、年金問題だけを訴えるだけでは国政選挙とは言えないはずである。
少なくとも、今回の問題は全国会議員の責任であることを明確にし、今まで短期間に矢継ぎ早に行ってきた戦後体制を脱却させようとしてきた実績こそ、諄々と説明することが必要だ。ともすれば矢継早に行ってきた法律の改正が一体、どのような意味を持つものなのか、じっくりと理解をしてもらう絶好の機会が到来したと考えるべきだ。
国民は、自分たちが払ってきた年金がきちんと戻ってくるかどうか不安なのであり、一種の社会不安となっているのだが、戻ってくるという処方箋が示されれば、やはり国の将来に目を向けると確信するのだが・・・(国際派日本人の情報ファイルより)

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