久間防衛相の「原爆しょうがない」発言は、外国通信社も取り上げた。フランスのAFP通信社が東京発で伝えている。日本国内では被爆した人たちの心を踏みにじる不用意な発言として非難を浴びているが、外国からは核使用の容認的発言に繋がるとして懸念を持たれる可能性がある。
<(7月3日AFP)安倍晋三首相は2日、米国の原爆投下について「しょうがない」と発言した久間章生防衛相を首相官邸に呼び、厳重に注意した。
時事通信社によると、安倍首相は久間防衛相に「長崎、広島の被爆者の気持ちを傷つけることがあってはならない。誤解を与える発言は厳に慎んでもらいたい」と厳しく伝えた。久間防衛相は面会後、報道陣に対し、今後は注意すると述べた。
久間氏は長崎県選出の衆院議員。発言には与党内および野党の批判のみならず、地元市民の抗議も集中した。長崎の被爆者団体などは同日、久間氏に対し、同市で行われる平和祈念式典への出席を辞退するよう求めた。
下降し続ける支持率を今月29日の参議院選挙を前に回復したい安倍政権だが、久間防衛相の発言は選挙前の微妙な時期と重なった。>
外国は日本の”国防相”の発言と受け止める。米国のキッシンジャー元国務長官は二〇五〇年頃までに日本の核武装を予測して警鐘を鳴らしているが、日本人が考えてもいない核武装について、外国が懸念を持っているいることを忘れてはならない。
一九九〇年代に米国のブラック・ユーモアを読んだことがある。
<ワシントンの大統領官邸。クリントン大統領、ウルジーCIA長官、ペリー国防長官らがテレビの前に釘付けとなっていた。CNNテレビが平壌の金日成広場で繰り広げられた軍事パレードを見入っている。
金正日国防委員長が「われわれは核兵器の製造技術を獲得した。偉大な朝鮮民族を守るためなら、核兵器技術を使うが、自分の方から使うつもりは毛頭ない」と高らかに宣言。
クリトンは「今後の極東情勢は大変なことになる」とつぶやく。
ウルジーは「北朝鮮が核兵器を持つと日本は核武装に向かうでしょう。日本は世界でも有数のプルトニウム大国ですから3000発の原爆を持ちます。核兵器を持った日本は米国離れをやるでしょう」>
極論を言えば、北朝鮮の核保有よりも日本の核保有の方が、米国の世界戦略にとって脅威だといえる。中国やロシアも同じ懸念を抱いている。勘ぐれば北朝鮮に核放棄を迫っている狙いは、日本に核武装の口実を与えないことが背景にあるのではないか。
痛くもない腹を探られている観があるが、日本の技術力、潜在的な軍事力は、それだけ大きくなったことを自覚しておくことが必要だ。いつまでも東海の小島にある貧しい国家なのではない。
久間防衛相の不用意な発言は、選挙に影響を与えただけでなく、海外にも誤ったメッセージを送ったことになりかねない。その反省があるのだろうか。
724 外国通信社も久間失言を報道 古沢襄

コメント