ヨーロッパ歴訪中だった紺野大介工学博士が福井県の黒田与作氏に寄せたメールを拝見した。黒田氏によれば紺野博士は、この15日ほどドイツ・スエーデン・ロンドン・ニユーヨークを旅行して最近帰国した。最初の立ち寄り先にベルリンのシアノバイオテック会社を選んでいる。
シアノバイオテックはドイツの名門フンボルト大学・生命科学研究所の産学連携事業として生まれた会社。医薬の根本を変えるべく、シアノバクテリアによる創薬事業を目指している。
約1500種類のシアノバクテリアを分析し、そのうち人体に効能効果が認められ、或いはその可能性のある約800種類について、それぞれ抽出し、例えば、その各々を高さ15cm底辺15cmほどのガラス製三角錐で培養。
数百個レベルの各種試験室が十数部屋、動的攪拌試験、温度耐久試験、湿度耐久試験、低温耐久試験、恒温室下のバクテリア相互の異性種による混合相性試験などを通してシアノバクテリアの本質を含めた基礎研究と応用研究を実施している・・・というからスケールが違う。
紺野博士は、人工的なケミカルコンパウンドによるものでない天然創薬の商用開発、特にペプチド性の生理活性物質の作用や将来性、現在製薬市場にない新規生理活性物質と生物との相互作用や創薬時の安全性の検証、シアノバクテリアの順応性、多様性、抗がん性など薬理学的見地などのチェックもなされているとみて、このような切り口から人類人体への貢献をめざした点に注目している。
興味があったのは、紺野博士が日本でシアノバクテリアに着目した「ピロール農法」が生まれていると英語版を示して説明したら相手の研究者たちが「ピロール農法」の概念や効果や方向をすぐに理解したということだ。
ドイツでシアノバクテリアに着目した天然創薬の商用開発が始まっているのは注目に値する。日本ではまだシアノバクテリアの解明が進んでいない。ウィキペディアの「藍藻」の記事説明が、それを示している。
藍藻
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(シアノバクテリア から転送)
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藍藻(らんそう)はシアノバクテリア(藍色細菌)とも呼ばれる真正細菌の一種であり、光合成によって酸素を生み出すという特徴を持つ。単細胞で浮遊するもの、少数細胞の集団を作るもの、糸状に細胞が並んだ構造を持つものなどがある。また、ネンジュモなどの一部のものは寒天質に包まれて肉眼的な集団を形成する。
[編集] 生態
水中に広く分布し、一部は湿った地上に発生する。 夏場に発生するアオコのなかにはシアノバクテリアが大量に発生した結果引き起こされるものもある。この中には毒性を持つ種も含まれる。ネンジュモ属のイシクラゲなどは湿った地上に、キクラゲのような姿で発生する。食用にすることもできる。アクアリウムではその独特のにおいやベタベタした外見で水槽内を蔽い尽くすことなどから忌み嫌われる「コケ」の一つであり、硝酸が多すぎると大量発生するとされる。対策としてメダカ目の魚に食べさせることがある。
[編集] 最初の光合成生物?
35億年前の最古の化石とされるものがシアノバクテリアに似ていることから最古の光合成生物といわれた時期もある。しかし、この化石は深海の化学合成細菌であるとする意見もあり、一方 16S_rRNA系統解析では緑色非硫黄細菌がもっとも初期に分岐したとされる。さらに光合成にかかわる遺伝子の配列では紅色細菌がもっとも異なった配列を持っているという報告もある。このような知見が重なるとともに、生物間での遺伝子の移動がしばしば起こる現象であることが明らかになるにつれ(遺伝子の水平移動)、代謝経路と生物の進化とを同一に論じることが困難であると認識されるようになった。
紺野大介氏
1945年2月、中国瀋陽市(旧満州奉天市)生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了、工学博士(流体力学)。旧ソ連/モスクワ大学数理統計研究所留学。野村/ハーバード・ビジネススクールMBA経営戦略講座修了。現在特定非営利活動法人創業支援推進機構(ETT)理事長。
1994年以来、中国北京清華大学招聘教授(国立トライボロジー研究所)を兼任。企業顧問、中日科学技術交流協会常務理事、新潟大学地域共同研究センター客員教授、中国民間企業経営塾塾長(JETRO北京主催/中国工商連後援)を兼務。元セイコー電子工業(株)取締役研究開発本部長。関連会社数社の会社管掌役員など歴任
767 21世紀はシアノバクテリア? 古沢襄

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