781 キルギス駐屯の米軍基地 宮崎正弘

上海シックス、本格的な軍事共同訓練を八月に実地へ
キルギス駐屯の米軍基地は存続できるか、否かの最終局面が迫った
八月にキルギスの首都ビシュケクで「上海協力機構」の首脳会議が開催される。それに先だって参加六カ国外相会議が、7月9日にビシュケクで開催された。キルギスのエドナン・カラバエフ外相は、「本会議では経済協力のほかにアフガニスタン問題に焦点が当たるだろう」と見通しを述べた。
上海シックス(「上海協力機構」の別名)にはオブザーバーとして、イラン、パキスタン、モンゴルなどが加わっており、「長期的経済協力体制はやがてアセアンに類似した機構に発展するだろう」とカラバエフ外相は語ったという(イタルタス、7月9日)。
さて会議と平行して「安全保障」を目的とした、軍事演習が8月9日から17日まで開催される。
「2007 平和使節」などと謳われ、中国、ロシア、キルギス、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタンの六カ国がロシアと中国で軍事演習を行うのだ。
表向き「テロリスト対応の軍事訓練」とされ、中国からは1600名が参加して、陸軍、空軍はもちろんのこと、兵站作戦の検討も行われる。
軍事演習の場所はロシアのチェルヤビンスク(ウラル山脈)とウルムチ。中国の空軍が海外の軍事演習に参加するのは、これが始めてという。
中央アジアは山岳部と砂漠が多いので、軍事作戦も類似地形の場所が選ばれたわけだろう。
中央アジアにおいて、ロシアと中国が異様な力点を置くのは、同地域に浸透する米国の影響力を低減させるという共通の戦略目標がある。
このため、ロシアと中国はキルギスのマナス空港に駐屯する米軍の撤去を激しく水面かで求めており、キルギスは「これは主権にかかわること」として、近未来も峻拒し続けることは日々難しくなっている。
げんにウズベキスタンは昨年、駐在米軍を「アフガニスタン作戦は終わった」として、撤去させている。
キルギスのイサベコフ副報道官は、「せっかく知米派がキルギスにもいるのに、駐米大使のザミラ・シディコバ(女性)は息子と釣り休暇旅行ばかりで、しょせんは外交のシロウト。先行きが懸念される」と内情を暴露している(アキプレス、7月10日)。
中央アジアから暗雲は去らない。(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)

コメント

タイトルとURLをコピーしました