790 忘れられているもの 丸山公紀

7月12日、いよいよ公示日を迎え、国政を左右する暑い戦いに突入した。各党首も各地で第一声を張り上げている模様がテレビ放映されていた。届け出をした候補者の選挙ポスターが一斉に掲示板に張り出された。
安倍氏の「戦後レジームの脱却の実現のためにはどうしても負けるわけにはいかない」という訴えと小沢氏の「なんとしででも野党で過半数をとらせてほしい」との必死なる訴えに注目が集まるが、実生活に直接関わっている人々と対照的にIT関係や学生など若い、いわゆる浮動票が一体、今回の選挙戦をどう見ているのかは考えてみる必要がありそうだ。
この選挙戦でもう一つ、重要なことが問われていない。それは日本を取り巻く国際状況にどう対応するかである。年金、消費税、格差の解決は確かに大事なことであり、少なくとも国民の政治への不安をもたらしたことは確かである。しかしこれらの問題は、政府と国民との信頼関係に成り立つものであり、場合によっては国民が最悪の場合には耐え忍ぶことによって、解決までの時間を創出することができる。(小生は年金、消費税、格差の是正問題が重要でないとは言っていない。)
だが、昨日の産経紙の櫻井よしこ氏の論によれば、韓国のハンナラ党が政府与党のウリ党と同様に北朝鮮に擦り寄ることによって、各施設完全廃棄を前提にせずに対北融和姿勢に方向転換したことは、既に東アジアにおいては日本以外に毅然として対北姿勢をとる国家がなくなったことを意味すること、中国が北京五輪以降には確実に台湾侵攻を目指して、弾道弾ミサイルの配備を着々と進めることによって、既に日本も米国もその射程距離の範囲に入ることによって身動きできない状況になったと判断していること、また米国大統領選のオバマ候補がアジアの平和の枠組みは日米の二国間合意ではなく、新たな枠組みで考えることが必要であること、即ち、中国を入れた平和の枠組みを模索しているなど、民主党政権に代わった場合には中国の関係を強化しようとしている姿勢があるなど、わが国は外交と安全保障政策を一つ間違えれば国の崩壊にもつながる可能性のあることを指摘されていた。
そして今回の参院選については全くそのことが触れられていない。このことは異常としか言い様がない。政治家も国民もこのことにそろそろ気づかねばならない。その時に、一体、どの党が正しい方向性を指し示しているのかを冷静に判断するのは国民の責務であろう。(「国際派日本人の情報ファイル」より)

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