米国下院議会の「従軍慰安婦謝罪決議」に対して、日本はどういう行動をとるべきだろうか?
これは日本がもし、「普通のくに」であるとすれば、名誉を毀損され、主権を損壊された“外交的事件”であるから、日本としては国際的に立場を鮮明にしておく必要があるからだ。
基本的に「抗議」と「反論」を行うべきであり、ついで対抗措置。しかもこれは向こう30年にわたる「言論思想戦争」になることを覚悟しなければならない。
まず、駐日米国大使を外務省は呼びつけ、つよく抗議する。これは国際常識にしたがっての慣例である。この「儀式」を行わないことには、日本が正式に怒っている態度表明にならない。
つぎに政府声明を官房長官は発表する必要がある。「事実に基づかない歴史認識に立脚した決議に対しての遺憾」を繰り返し繰り返し表明しておくべきだろう。
さらに米国議会の愚かな動きを阻止できなかった日本の外交力の無能を譴責するため、外務大臣の更迭、もちろん、駐米大使の更迭をともなう。ついでに外務省首脳人事を刷新せよ。
さらに行政上、選択するべきは、
駐留米軍付近の「売春関連」施設を徹底的に捜索する。
「無賃乗車」など米兵の軽犯罪を一斉に摘発する。
在日外交官などへ監督の強化。たとえばオオニシ・ノリミツなど不良外国人の国外退去。
つぎ選択できる行政上の簡単な措置とは(北朝鮮問題における米国の裏切りに対応する意味でも)、――
イラク戦争における日本の協力を撤回もしくは中断
駐日米軍への「おもいやり予算」の実行を中断
関連する「友好行事」の一時的中断など輻輳した措置を考えるべきである。
しかし、「普通のくに」ですらない日本は、官僚の認識においてさえ「怒り」が感じられず、ましてや、今回の米議会の愚行を「主権の損壊」とも「名誉」の問題とも考えていない雰囲気。
この国内の脳天気な、だれた空気をしっている産経新聞社説は「官民で事実誤認をただそう」と言う程度。
日経新聞さえ「日米関係損ねる慰安婦決議」とヒョウロンカのような言い分だ。
この日本の体たらくの現状をみるかぎり、向こう三十年の言論戦争を決意する気概がなく、しかも雄弁家が不在であり、あまつさえ国内に中国韓国米国の反日グループと連携している反日派がぞろぞろといる。国内に敵が多い。
そうした場合、日本のつぎなる選択は「徹底的に無言」で過ごしてゆくしかあるまい。
無言である裡に国際世論は、目下のダルフール虐殺、プーチンの独裁、ブッシュの落ち目、ヒラリー、北京オリンピックボイコットなどへ向かうだろうから。(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)
コメント