8月1日、中国人民解放軍は創立80周年を迎え、兵器展示など様々な催しに加えて、引退した江沢民をよんで記念式典も挙行した。
軍内部では軍歴のない胡錦濤を軽視する軍幹部、とくに古参幹部が目立つけれども、それも長老、元帥クラスを引退させて、軍権を掌握したトウ小平、人事を濫発して周りを固めた江沢民のスタイルを踏襲するかのように、胡は一方において人事権を行使し、依然として不確かな軍権の掌握に躍起となっている。
人事は胡に忠誠を誓う若手幹部を抜擢し、敵対勢力は「綱紀粛正」を口実に左遷する。それでも軍の暴走を完全に阻止できない胡執行部は、まず予算増大に目を瞑った。
十九年連続二桁増大の軍事費は、共産党主導部が軍を宥めるための理由が、じつは最大なのである。
昨年の軍関係予算を検討してみると、一人あたりの兵士の食費が11元から39元へと3倍も「躍進」している事実に目を瞠る。贅沢な食事をしているのである。
第二は軍服の軽量化だ。軽くてあたたかい軍服が好まれ、この改良に100億元を投じた。
これまで推進されてきたのは、軍関係の装備近代化が第一だった。昨今、兵舎の改築、新築が進んできたが、或る部隊などピンクのぴかぴかビルと変心し、周囲を驚嘆させた。
七月に胡錦濤は、3人の軍幹部の入れ替えを行った。北京軍管区、南京、広州の三つ。この三つは軍のなかでもとりわけ枢要な拠点。
大出世した3人はいずれも二階級特進で、胡への忠誠を誓う軍人である。
さて次の見所は「党大会」における軍人の割合である。
軍人は2220人の党大会参加者のうち、13・3%の296名を送り込み、そこで、およそ20%の「中央委員」を希望しているという。
「軍の兵器輸出は『ならず者国家』に対して『友好価格』で売却され、それによって中国外交は冒険的、軍事的であろうが、格段の成果を挙げた」(ウィリー・ラム、『チャイナブリーフ』、7月26日号)。
そうした外交上の得点を背景に軍は党役員人事でもジャンプを狙っている。(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)
837 人民解放軍掌握はいまだ途上 宮崎正弘

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