838 シーファー大使に「会う必要なし」と 古沢襄

<参院選で圧勝した民主党の小沢一郎代表に対し、シーファー駐日米大使が会談を申し入れ、民主党側が返答を留保していることが2日分かった。
民主党によると、1日に米大使館から小沢氏との面会を要請するファクスが届いた。詳しい内容は書かれていなかったが、小沢氏が反対を表明したテロ対策特措法延長に関し、翻意を求める意向とみられる。小沢氏は周辺に「会う必要はない」と伝えており、現状で会談実現にめどは立っていない。
同法は米軍が中心となってアフガニスタンで実施するテロ掃討作戦を支援するため、01年に2年間の時限立法で成立した。03年に2年、05、06年に各1年延長されたが、民主党は過去3回の延長にすべて反対している。
11月1日に期限切れとなるため、政府・与党は秋の臨時国会で延長の改正案を成立させる考えだが、参院で過半数を占める野党が反対を貫けば延長できなくなるため、危機感を持った米側が乗り出したものと見られる。(毎日新聞 08月02日 11時30分)>
朝日新聞も「シーファー駐日米大使の申し入れを断り、小沢代表が当面は会うつもりはないようだ」としている。産経新聞はワシントンから「シーファー駐日米大使は1日付の英紙フィナンシャル。タイムズとのインタビューで、早急に小沢氏と会談し(テロ対策特措法の)延長に反対しないよう説得する考えを示した」と伝えてきた。
スノー米大統領報道官は7月31日の記者会見で、この問題について「日本の国内政治には関与しない」としながらも「安倍首相が重要で貴重な、米国の同盟者であると考えている」と暗にテロ対策特措法の延長を期待する石を投げてきた。
11月1日で期限が切れるテロ対策特措法については、アフガニスタンでイスラム武装勢力のタリバンが活発な活動をみせてきたことから、インド洋に派遣されている日本の海上自衛隊の艦船が引き揚げる事態になることを米政府当局者は深刻な懸念を示している。
米国下院議会が日本の反対を押し切って、マイク・ホンダの尻馬に乗って「日本政府に慰安婦を性奴隷にしたことを正式に謝罪することを求める決議案」を可決しておきながら、よく言うよ!といいたいところだ。決議案阻止でシーファー駐日米大使が汗をかいた話は聞いていない。
もっともこの決議後に、インド洋における海上自衛隊の貢献などを高く評価し、謝意を表する決議をマイク・ホンダも加わって、米国下院議会の外交委員会でやっている。一方で日本政府の正式謝罪を求めながら、一方で日本の貢献を称賛する”子供だまし”のようなものではないか。小沢代表がシーファー駐日米大使の面会を拒絶したのは、一般庶民からは喝采されるであろう。少しは米国を慌てさせた方がいい。
しかし実際にインド洋における海上自衛隊の給油支援を中止するとなると別の次元の話となる。民主党は航空自衛隊がクエートで行っているイラク空輸支援を中止する法案を参院に提案する方向で検討に入ったという。また沖縄の普天間基地の移転についても反対し、この三つが臨時国会の争点になる。
小沢代表の外交スタンスは、米国とも中国とも等距離を保つことにある。決して反米でも嫌米でもないのだが、米国一辺倒の外交路線を貫いてきた小泉外交とは明らかに違う。等距離といっても米国との関係が薄まり、中国との関係が深まるのだから、米国から見れば日本の米国ばなれと映る。
衆院で圧倒的な多数を持つ安倍首相が、小沢代表とどう折り合いをつけて、日米関係に亀裂を生じないように計るか、参院選における自民党の惨敗は、新たな問題を早速抱え込むことになった。

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