844 背筋が寒くなる真夏の怪談話 古沢襄

公明党・創価学会が自民党を見限ったという風説がさかんに流れている。参院選の開票日から二、三日、民主党の小沢代表が姿を消したが、実は創価学会の池田大作名誉会長と会っていたのだという”怪談”めいたヒソヒソ話も永田町を駈けめぐっている。
事の真偽は分からぬが、解散・総選挙近しとおののく自民党議員にとっては人ごとではない。参院選の結果を衆院選に当てはめてシュミレーションすれば、自民党は三〇〇小選挙区で七〇議席程度までに減るという試算もある。
総選挙で政権交代を実現すると呼号している小沢代表なのだが、三〇〇小選挙区のうち一〇〇小選挙区には公認候補を立てていない。これも自民党から鞍替えする議員を当て込んで、わざわざ空けているのだという風説もある。
その雪崩現象を誘い出す手が、公明党・創価学会との復縁話。今の自民党は一小選挙区当たり平均して三万票ぐらいの公明党・創価学会票のお世話になっている。底上げ部分がそっくり民主党に鞍替えとなったら、衆院でも自民党の惨敗は免れまい。
自民党の議員諸公にとっては、背筋が寒くなる真夏の怪談話である。かつて自民党の大野伴睦副総裁は「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればただの人だ」の名言を残した。落選すれば誰からも相手にされない因果な職業だから、生き残りを賭けて強い方に靡く習性がある。
公明党・創価学会にしてみても政権から滑り落ちた自民党と心中覚悟の臥薪嘗胆をするつもりはサラサラないであろう。過去の「自自公」「自公保」「自公」連立は、政権与党の一角に座ることが目的であった。
以前の自民党なら、こういう危機的状態が生まれれば、民主党のふところに手を突っ込んで、斬り盗り強盗まがいの多数派工作をするのが、飯よりも好きという練達の士がゴロゴロしていた。政策なんて二の次、理屈よりも行動という、品がないといえば品がないが、政治の世界では、この手の汚れ役が欠かせない。
今ではお坊ちゃんの優等生ばかり。野中広務氏という最後の手練れの士も引退している。小沢一郎という蛇に睨まれた優等生蛙は、不安に駆られて右往左往しているのではないか。野党だって一枚岩ではない。公明党・創価学会が入ってくれば、共産党や社民党は、はじき出される。国民新党の影も薄れるであろう。民主党の中も一枚岩とはいえない。
民主党が参院で第一党になったといっても、単独で過半数を持っているわけではない。下手をすると公明党・創価学会に牛耳られる可能性すらある。これは自民党が通ってきた道ではないか。
本来なら自民党は数が減っても、公明党・創価学会と手を切り、民主党との連立工作をする時期にあるのではないか。憲法改正を本気でやるつもりなら、それしかない。

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