参院選の分析を新聞はいろいろやっていたが、核心に迫る分析はない。朝夕刊の締め切りに追われる新聞の宿命があるから仕方あるまい。しかし新聞に携わる記者でも朝日の石川真澄氏のように本格的な分析を残した者もいる。締め切りにとらわれずに半年以上の歳月をかけて結論を導きだしている。
私は選挙前に自民、民主は互角と言ったが、選挙後もこの見解は変わらない。保守二大政党という基盤は出来つつある。各種データがそれを示している。自民党の惨敗は①亥年選挙の定説であった低い投票率が、戦後初めて高い投票率になったこと。これは選挙前の安倍内閣の閣僚の不祥事が大きく影響している②もう一つは小泉政治の特徴だった選挙におけるポピュリズム手法が、安倍内閣では機能しなかった・・・ことがあげられる。
政治がポピュリズム的傾向に流れることは慎むべきであるが、選挙の手法としてはポピュリズムが必要にして欠かせない。新保守理念にウエートを置いた安倍手法は、短兵急で若さを露呈している。新保守理念は選挙に勝ってから、徐々に追求すべき老練さが求められる。理念だけでは選挙民の心を掴むことはできない。
データでみるかぎり自民党の支持層は徐々に低落傾向にあるが、これが安倍内閣の下で劇的な崩壊現象をみせたわけでない。池田内閣で高度経済成長施策をとって以来、農村部で自民党の保守地盤に変化が起こっているのは、石田博英氏が早くから指摘している。
それを繋ぎとめてきたのは、工業立国、貿易立国をダイナミックに推進し、税収の増加部分を使って農村部に対する補助金政策を行ってきた結果である。右肩あがりの財政拡大ができなくなり、補助金政策が行き詰まりをみせた現在、それに代わる有効な農村政策が自民党にも民主党にも立てられないでいる。これは日本だけの現象ではない。ヨーロッパにも同じ傾向が生まれている。
小泉内閣は市場原理を導入した構造改革によって、この危機を突破しようとした。しかし市場原理は取り残される弱者に不安を与え、格差が拡大する副作用がある。格差がそれほどでもない中間層にも不安感が広がっている。市場原理は不安を払拭する将来像を示すに至っていない。
そのような状態のところに新保守理念を唱えても、国民の大多数はついていけないのではないか。といって、これまで通りというわけにもいかないことは、国民が本能的に察知している。異論があるかもしれないが、小泉構造改革を維持していくしか道はないと考えている。
安倍改造内閣の人事では、構造改革路線の維持を内閣・党が一体となって、第一義的に掲げるべきであろう。だが内閣が構造改革路線の一色で塗りつぶされるのは危険である。構造改革路線そのものに警戒すべき負の部分を持っている。内閣にあって常に警戒信号をだせる人も必要である。同時に新保守理念の持ち主も、将来の日本の行く手を考えれば欠かせない。
877 安倍改造内閣に求めるもの 古沢襄
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