894 誰も望まぬ「強いロシア」 平井修一

いやあ、暑いなあ。今日はすさまじい陽射しで、散歩にも仕事にもいけない、行く気がしない。お盆休みで常用薬がなくなるから、辛うじて医者には行ってきた(ああ、もう立派なジジイだ)。
帰宅してから夜勤明けの女房、飲み会開けの息子、散歩に行けなかった愛犬とともにクーラーの部屋にこもって「ワシントンポスト」紙を読んでいたら、8月10日号にロシアの軍事力増強を警戒する記事がある。
(Russia Says U.S. Intercepted 2 of Its Bombers Over Pacific)。やることがないので、以下、抄訳する。・・・・
ロシア公表「アメリカが太平洋上でロシア爆撃機2機を妨害」記者:アントン・トロイアノフスキー、ジョシュ・ホワイト
【モスクワ発、8月9日】2機のロシア爆撃機が太平洋を数千マイル航行していたところ、米国の軍事基地のあるグアム付近で、米国の複数のジェット機が妨害行動をしたと、ロシア空軍が9日に発表した。
この太平洋上飛行は、冷戦が終わった時からほとんど休止されていたが、一種の軍事駆け引きが再開されたと言える。
「我々ロシアの長距離航空機が遠く洋上飛行することは伝統的な訓練。そこでパイロットはアメリカの飛行機と出会い、彼らに挨拶する。8日に我々はその伝統を再開した」と、パーベル・アンドロゾフ少将が9日に語った。
米政府当局は「爆撃機の飛行を確認しただけで妨害はしていない」と語っている。
このロシアの動きは、1990年代からの「長期低迷から甦るロシア軍」を象徴している。ソ連とともに崩れた軍隊の栄光を取り戻すことは、「強いロシアの復活」をすすめるプーチン大統領が最も力を入れている要の政策だ。
オイルマネーの流入により、ロシアは新兵器開発に投資して、ヨーロッパとアジアでの軍事プレゼンスを拡大・強化している。古い兵器では高くつくが、最新兵器なら精巧な訓練を効率よく実行することができる。今週、アンドロゾフ少将は、北極および大西洋上でも長距離フライトを行っており、巡航ミサイル8発を発射したことも明らかにした。
先週、アナトリー・セルジュコフ国防相はロシア軍が36種の最新兵器を装備したと明らかにした。また、ロシア海軍最高指揮官は、「地中海での恒久的な軍事プレゼンス」を表明した。
軍事アナリストのアレキサンダー・ゴルツは、ロシアの軍用機がアメリカに対して巡航ミサイルの発射をシミュレーションするために1999年以降、大西洋上で毎年演習訓練をしていると言った。
「潤沢な金があるので、ロシアはアメリカへの太平洋ルートを飛行をしてみることに決めたようだ」と、ゴルツは電話インタビューで語った。
公海上の長距離爆撃機へのスクランブルは、冷戦時の緊張の象徴だった。ソ連は通常、Tu-95(1950年代に就役した巨大な4発航空機)を国境から遥か遠くまで運航していた。NATO空軍は、ソ連機と並んで飛ぶために戦闘機を発進させたものだ。
ワシントンの米国国防当局者は9日、「太平洋でのロシアの動きは挑発とはみなされなかったが、注意を引いた」と語った。22,000人の将兵、30隻の艦船、275機の航空機を含む米軍は、Exercise Valiant Shield(勇敢なる盾演習)と 呼ばれる大規模訓練の一環として、今週、グアム近海で日本と一緒に活動している。
ハワイの米国太平洋司令部スポークスマンによると、ロシア爆撃機は米国艦船のおよそ300マイル(480キロ)、航空機のおよそ100マイル(160キロ)まで接近すると言う。米政府当局によると、ロシア機を追跡するが目視接触には至らず、ロシアは撤収ていく。
「米軍は8月8日正午に2機のロシアのTu-95機がグアムの方へ南進していたので追尾した」と、司令官・大尉のチト・ペッパー(ペンタゴン・スポークスマン)。「米軍はロシア爆撃機を航行妨害する用意があったが、彼らは妨害を正当化するほどにはアメリカ艦船、グアムには近づかなかった」
グルジアからの「ロシアの軍用機がグルジアのレーダーサイトへミサイルを発射した、ミサイルは村の近くで着弾したが、爆発しなかった」という申し立てに対して、ロシアの空軍参謀長のイゴール・クボロフ中将は、グルジアの主張を「政治的な作り話」として退けた。
グルジアは、ミサイルは旧ソビエト共和国へのロシアの攻撃性の証拠と非難した。グルジアはロシア軍用機のグルジア上空飛行を否定しているが、モスクワはそれについて、NATO同盟の拡大には断固とした軍事対応をとらなければならないと言った。
アメリカは東ヨーロッパでミサイル防衛網(MD)を造る計画だが、ロシア軍当局者は、MDはロシア領域をスパイするためだと思っている。
先月、ロシアはヨーロッパで軍事配備を規制している鍵となる条約からの撤退を表明した。

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