今回の参院選の争点は「年金」。オラもかなり早くから警告していた。なのに官僚(含:自治労)と組んだ小沢にまんまと嵌められた。「年金土俵」に引きずり込まれてなぶり殺し。
純ちゃんのように「猫だまし」が出来ない正直な晋三、「年金争点」では勝てるワケがない。
これで「テロ特措法」の延長で国会審議は行き詰まり、早期解散に追い込まれるは必至。早ければ年内、遅くても来年の夏までには解散総選挙。
それでなくても純ちゃんの「郵政解散」で水ぶくれの自民党である。「美しい国」では有権者から見向きもされないから下手すりゃ自民の議席は半減。
むかし田中角栄というのが総理・総裁を目指した時「老人医療無料化」というのを打ち出した。65歳以上の老人の医療費は全部タダにするというのである。
マスコミは「日本列島改造論」ばかりを囃したてて、その陰であまり脚光は浴びなかったが、庶民はこうした生活に直結する政策に敏感。
昔も今も自民党の支持者は保守的なものだが、保守層のなかの庶民派は実は生活重視。社会党や共産党が支持されなかったのは「あいつら理屈ばかり言っている政党」だったからである。
あの「雑駁そうな政治家・角さん」が意外や庶民にモテた所以はこの辺りにもある。
そこで多くの国民・自民党支持者が、当時角さんが打ち出した「老人医療無料化」が今でも自民党の方針として受け継がれていると信じて疑わない。
ところがである。こんな方針は小泉時代の「国民にも痛みを伴う行財政改革」のもとでとっくに反古―――新聞もテレビもちゃんと報道しないから誰も知らないが、来年4月になると「老人医療」が「あっと驚く為五郎」になっちゃう。
これ、75歳以上の貧乏人の老人は病気になったらみな死ねという制度。その時になって初めて思い知らされることになる。
医療や老人福祉を担当する厚労省ではなく小泉・竹中と直結した財務当局の主導でやったことだけは間違いない。
この制度、「後期高齢者医療制度(後高医制)」という。かいつまんで言うとこれまで国民・政管や組合健保などでうけていた医療保険を75歳以上は全員この「後高医制」に入れ、保険料は年金からの強制天引き。
この保険で受けられる医療サービスは厳しく制限され、例えば輸血なら1回だけで2回目からは自己負担。薬も例えば血圧の薬「ノルバスク」「ブロブレス」を併用していた者、1種類は保険がきくがもう1種類は自腹へ・・・
目的そのものが「老人医療費の大幅削減」なのであるから医療サービスの切り込みは半端なものではないのである。
この制度の導入は破綻した国家財政(財政赤字は850兆以上)の建て直しということがあるのだが、もうひとつは小泉内閣の時のブレーンとされた竹中・宮内らのが推し進めたグローバリゼーション―――規制緩和の名のもとのハゲタカファンドへの旗振り。これが実現に一歩近づくということ。
かねてより米国のハゲタカがノドから手が出るほど欲しがっていたもの、それが日本の医療保険なのである。
角さんの「老人医療無料化」でも分かるように、国民皆保険を合言葉にわが国がすすめてきた医療保険制度は規制の壁が厚くハゲタカも手が出し難かった(カタカナ名の外資系ガン保険などで一部のカベはもう破られているが)。
それを来年4月の「後高医制」の実施で患者個人負担の割合を大幅に拡げ、その負担分をハゲタカなどが目論む民間医療保険へ誘導する・・・
この6月、多くの者が何も知らされてなくて住民税の大幅増に目を剥いたが、今度は来年の4月だ。
参院選で新聞・テレビはバカの一つ覚えの如く「年金」「年金」。この「後高医制」の実施にふれたところはどこもない。これを訴えるところがひとつでもあれば年金一辺倒だった選挙戦はまた別の様相をみせたであろう。
なぜなかったか。おそらく新聞・テレビが無知でその存在をどこも報道しなかったからである。
迫ってきた解散・総選挙。そのとき晋三政権が続いていても、その争点は「改憲」でも「愛国心」でも「美しい国」でもない。「年金問題」はさらに勢いを増して「社会福祉全体、その後退」「地方の荒廃」・・・そうした現金なものが争点になることは間違いない。
政争に明け暮れた失われた10年。それによる国家財政の破綻で晋三だろうが誰だろうがきれい事を言ってる時ではないのだ。国民の生活はさらに疲弊する。
900 楢山節考 山堂コラム179

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