中国の輸出総額はアメリカを抜いて世界第2位に浮上したが、その殆どは外資のもので、中国企業のブランド品は10%にも満たないという。こういう国を主要国と表現していいのだろうか。
このことを明らかにしたのは中国商務省の于広州次官。2007年8月21日19日までに明らかにしたと産経北京の矢板明夫特派員が20日付けの紙面で報じた。
最初は勇ましい。「中国の輸出総額は今年、米国を抜いてドイツに次ぐ世界第2位に浮上する」といい改革開放を実施してから約30年、貿易大国の地位を固めつつあると誇らしげだ。
ところが中身が問題だ。輸出の大半は日本やアメリカなど外資企業に頼っている。中国系蚕業は世界に通用する技術もブランドも殆ど持っていない。それどころか品質低劣な製品は世界中のあちこちでトラブルを起こしている始末。
国営新華社通信などによると、于次官は18日、北京で開かれた中国経済発展フォーラムでの講演で、今年上半期の中国の輸出額は5467億ドルとなり、昨年同期と比べて27・6%増えたといい、「このペースで推移すれば今年の輸出額は米国を約500億ドル上回る」と予想した。
同時に于次官は輸出の拡大は外資系企業による貢献が大きく、中国企業のブランド品は10%にも満たず、結局は輸出額と貿易黒字の拡大はあっても「中国の貿易上の地位が高いことを意味しない」と認めた。
矢板記者によれば、中国製品の輸出は繊維製品、玩具など付加価値の低い労働集約型製品に偏っている。
これに反して欧米や日本などは自動車のように高い技術集約型製品を中心に輸出している。早い話、技術を売って儲けている。したがって輸出の約60%を外資系企業が占める。
これに対して中国メーカーは利息、配当金、技術、ブランド使用料などを外資に払わなければならず、いくら輸出が増えたといっても、中国に入るのは賃金だけというのが実態だ、と矢板記者。
トウ小平が3度の失脚を賭けて行った経済の改革開放の30年後の結果がこれである。日本など外国資本(外資)への開放が無ければ彼の念願とする、農業、工業、兵力、科学技術の「4つの近代化」は寸分も進まない状況だった。
だが30年かけて中国企業自らのブランド品は輸出総量の10%にも満たない、というのではあまりにも情けないではないか。
それだけならまだしも中国製品は海外に大いに売ったものの低品質は愚かペットフード、歯磨き粉、玩具などには有害物質が検出され各国で政治問題化しつつある。
特に大統領選挙を控えたアメリカでは、出馬を表明しているドッド上院議員(民主、コネティカット州)が17日、安全性が問題となっている中国からの食品、がん具、ペットフードなど一部商品の輸入を停止するようブッシュ大統領に要請する事態に発展した。
ニュージーランドでは販売されている中国製の子供服から、発がん性が確認されている化学物質ホルムアルデヒドが大量に検出されていたことが分かり、ニュージーランド政府は20日、緊急調査に乗り出した。
AP通信によると、クラーク首相は記者団に「それらの製品が適正基準を満たしていなければ、政府は即座に(輸入販売を)禁止できる」と述べた。(2007年8月20日22時46分 読売新聞)
こうした中で日本における最も権威ある中国ウオッチャー宮崎正弘氏は21日付の「国際ニュース早読み」の中で指摘した。
<レスター・ソローと言えば、世界的に著名な経済学者。世界的ベストセラーを何冊か書いた。殆どは日本訳されている。
ソローはこう言った。
「アメリカ経済を今世紀末に中国が越える? あり得ない。第1にアメリカ人の平均所得は43,000ドル、中国は1,000ドルだ。この基礎データをベースにして計算予測しても、しかも、いくら迅速な高度成長を遂げるにしても、中国が、もし、アメリカ経済を越えるという事態は22世紀末でしか起こり得まい」(インターナショナル・ヘラルド・トリビューン、8月21日付け)。
日本が高度成長を遂げていた1970年代、電力消費は年率60%伸びた。中国はどうか? 日本と同じスピードであると仮定しても、経済成長は6%という計算にしかならず、とても公式発表の 10%以上にはならない。
ソロー博士は、経済学者として統計学上の仕組みから、中国の成長の嘘をしっかりと暴く。
「都市部の急速な発達が、中国の経済成長のほぼ7割を支えているとしても、10%成長をするには都市部が33%成長していなければ計算に合わない」。
前から言われているように中国の統計は作為的、恣意的、かつ出鱈目であり、いかなる統計も信用できないのである>。
中国の4つの近代化は軍備はともかく、科学技術、工業、農業の分野では道遥かに遠しだ。
衆人環視の中で唾を吐く、行列を無視する(要するに他人への迷惑に無関心)。欠点は補わないで隠す。禿山に緑のペンキを塗って緑化に成功したという。嘯く。
デザインや発明に身を削らず偽物をせっせと作る。武力にさえ優れていれば人は従い、すべて解決すると思い込んでいる(中華思想)。こうした国民の特性を解決しなければ、この国は一流には絶対なれない。解決できるはずも無い。2007・08・21
909 改革開放30年後の成果? 渡部亮次郎

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