921 どうするニッポン?! 平井修一

弱者の攻撃は「テロ」といわれる。強者の攻撃は「治安出動」「掃討作戦」といわれる。
テロは不道徳で、治安出動・掃討作戦は道徳などというのはウソで、いずれも己の利益のための暴力発動=攻撃=軍事力行使である。
イラク、アフガニスタンでの米軍主導の治安回復はほとんど進んでいない。昔なら原爆を落として住民を一掃してしまえばよかったが、今はそれはできない。
この二国は、米軍が撤退すれば内戦になり、殺し合うことに疲れるまで、あるいは殺しつくすまで戦争は続く。周辺国はそれぞれが応援する勢力に加担するから、中東全体が戦国時代になる。
エネルギー安保の観点から、先進国は中東戦国時代を望んではいないが、米国民は派遣米兵15万人のたった2%、3000人が戦死しただけで「撤収の道筋をつけろ」と声を張りあげている。
3000人が死んで、10兆円の軍事費を使ってなんの成果も上がっていないから米国民がウンザリする気持は分かる。しかし、現地政府は治安を維持する能力はゼロに近いから、ブッシュは退くに退けない。泥沼である。石油に目がくらんで罠に落ちた。
泥沼にはまって、米国は単独で世界の治安の面倒を見ることができなくなりつつある。強大な軍隊でもテロには有効な手を打てないから中東は以上のようになす術なし。余裕がないからアフリカと南米はまったく手が出せない。
欧州はNATOがあるからロシアへの牽制になっている。アジアは日本、豪州、インドで中国とロシアを牽制してくれという考えだろう。今夏の日米合同演習では日本軍に爆弾投下訓練までさせている。
日本のプレゼンスは今後高まらざるを得ない。軍事的にもそうだが、今後、日本のエコ技術、原子力発電技術は世界中から求められるだろう。
中国も日本の協力なくしては明日の環境・エネルギー設計は作れないだろう。日本が戦略的に動けば中国の暴発を抑え、アジアの安定を維持できるだろう。
「日本と覇権を争うよりは友好関係を維持したほうが国益につながるだろうな」と思わせるように導く外交が対中露には必要だろう。
テロを中露は「強権」で今のところ押さえ込んでいる。テロを上回る政権テロで国内の不満派を抑えている。「うるさい奴ら」は暗殺する、収監する。こんなことは長くは続くまい。
地球百年の計のもと、日本が中露、アジアに対して何ができるのかを政治家と官僚には考えてほしいものだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました