「安倍総理は内閣改造で再浮上を図ろうとして、一応、成功したように見えるが、すっかり水に浸かったドロ舟、もって三ヶ月」という見方がどこからとも無く流れている。
記者の先輩に教えを乞うたら、これを流したのは、今回も入閣者0だった谷垣派で、反安倍の派閥横断勉強会を立ち上げた園田博之氏も谷垣派所属で、この動きの先頭に立ったらしい。
博之氏は、筆者が若い頃、大臣秘書官として仕えた故園田直の息子さんだ。二人目の妻の長男。三人目の妻・天光光(てんこうこう)の長男は政界に無関係。
それはひとまず置いて、谷垣派は加藤紘一の抜けた後の派閥。昔は「宏池会(こうちかい)」といい池田勇人が作って総理大臣になった。名門派閥といわれた。
二代目の前尾繁三郎を飛ばして大平正芳、鈴木善幸と総理を出したが最後に宮沢喜一を総理にして力尽きたか、派閥は四分裂。そこに宏池会の悲劇がある。加藤紘一が”森おろし”に動いて、鎮圧された時が悲劇の始まりだった。
元々は田中派(現津島派)と組んで、吉田茂の流れを汲む「保守本流」を自負したものだが、今やいけません。「どうせ今回も安倍は我々を入閣させないよ」と悪たれ、組閣当日はゴルフコンペをやるんだと強がる向きもあったと、週刊誌のタネになっている。
その彼らの流したのが”余命三ヶ月”だが、どうも別に根拠は無いらしい。「長くはない」の先に滑った舌が三ヶ月とつけたようだ。
いわゆる身体検査もした上での組閣。舛添厚労相など、頭脳の通りの政治力なら結構面白い事をやりそうだし、何ぼなんでも越年は間違いないようだ。
つまり臨時国会の後の通常国会で来年度予算が年度内に成立するかどうか。民主党との死闘が展開する。その間、閣僚のスキャンダルでも暴露されれば論外だが、どうもその危険性は野党も抱えている。
体力を使い尽くした四月に危機が来るとプロは予測する。予算関連法案は参院で民主党に悉く否決されるから、三分の二を擁する衆院で再可決して、成立させる必要があるから関係部署にいる議員はくたくただ。
但し、それも慣れてくると楽なものだ。与野党ともに緊張感に欠けてくる。そうした頃、政界再編成に向けた様々な動きが始まるに違いない。魑魅魍魎が夜な夜な忙しい事だろうが、具体的には今は誰も予想できない。
こうした中、民主党は参院逆転に気をよくして、衆院の一刻も早い解散を仕掛ける、という見方は浅すぎる見方のようだ。つまり小沢らは決して気をよくしてはいないはずだ、という解説がある。
私も世論調査は信用しない方だが、ある調査が民主党支持率12・0ポイントもダウンと出たのだという。それは共同通信が安倍内閣改造直後に行った世論調査。自民党が支持率38・8%に回復したのに、民主党は一気に12・0ポイントも失って25・6%に落ちていた!
これは明らかに参院選での民主党圧勝は、自民党という敵の失敗に乗じた”根無し草”だったことを示したのである。先輩記者は「やがて地方でも自民党支持率が回復するはず。また安倍内閣支持率は桝添効果で50%近くになるだろう」と見ている。
こうなってくると国会や国際面での出所進退の難しさを抱えたのは、参院逆転ゆえに民主党になったという見方も出来る。
ついでに別のところで触れた「福田政権の蜃気楼」のその後である。伝わってくるところでは安倍を支えているはずの町村派にさえ余命三ヶ月論が囁かれている。
これはあくまでもキングメーカーとして政界に跋扈しようと図る輩が、派内に敢えて流したもの。しかも福田康夫氏は森氏が何を言っても動きそうにも無い。むしろ今期限りで息子にバトンタッチという観測は正しいようだ。
来年の事を言えば鬼が笑うというが、にわかに民主党政権は出来そうもない。自民党内が谷垣で纏まる事は考えられないとなると、回転寿司マダム(小池百合子)に狙われる男性は麻生太郎ということになるか。ウッフッフ(鬼)文中敬称略 2007・08・30
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