954 シー疑惑で揺れる米民主党 古沢襄

米政界は中国系実業家・ノーマン・シー(徐諾曼)の巨額政治献金疑惑で揺れている。米民主党の選挙候補者に、合わせて百万ドル以上を政治献金し、その大半は、民主党の大統領選候補者ヒラリー・クリントン議員に流れているという。
このノーマン・シーは素性が分からない人物。八月二十九日のロサンゼルス・タイムズは、シーは連邦警察の指名手配の犯人であると報じている。1990年代に詐欺罪で起訴され、三年間の懲役刑を処せられたが、入獄直前に逃亡したので連邦警察が指名手配した逃亡者だという。
ロサンゼルスとニューヨークには、香港返還に伴って金持ちの中国系移民が流れ込んだ地域である。米市民権を得た後は、豊富な資金力にものをいわせて、主として民主党に献金して政治的な発言力を高めてきている。
とくにロサンゼルスとサンフランシスコは反日中国ロビーの震源地といわれてきた。慰安婦問題で対日非難決議を主導したマイク・ホンダ下院議員も、シーから献金を受け取っていた。シー問題が表面化したので、マイク・ホンダは献金を辞退する意向を表明している。
ウォールストリート・ジャーナルによると、マイク・ホンダはシーから六月に1000ドルの献金を受けたほか、迂回献金で2000ドルを受け取った疑惑もでている。シーはマイク・ホンダのレセプションで幹事役を務めていた事実も分かっている。
逃亡者であるためか、献金の方法もシーの名前を使わないケースがあって、他人名義の献金という巧妙な手口もあるという。シーの本業はアパレル業だというが、巨額な献金の資金源がまだ解明されていない。
今のところ米民主党の大統領候補で最高の献金額を誇っているヒラリー・クリントン議員の事務所は、「献金の違法性を示す証拠がないため、金を返却する考えがない」と表明している。

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