975 ロシアに芽生える「中国の不誠実」 宮崎正弘

2005年秋、吉林の石油化学工場が爆発し、100噸のベンゼンが松花江へ流れ出した。松原からハルビンへ流れ、汚染ベンゼンは、そのままスンガリ(松花江のロシア名)からハバロススクへ。そこからアムール河へ流れ込み、やがてサハリンから日本海へ注ぎ込んだ。
当時、中国はロシアへ石灰を急送し、ハバロフスクにあった中国領事館で連日行われたロシア人の環境保護団体のデモ、硬化するロシア世論をかわそうと躍起だった。
直後の06年には両国で河川の汚染監視、環境保護などが決められた。
ロシアとの補償問題が発展し、両国は国境付近における環境汚染防止を謳った協定の策定に取りかかった。
07年3月にモスクワを訪問した胡錦濤主席は、合計33億ドルを提示しての環境整備プロジェクトを提示した。このうちの17億ドルが2010年までに中国露西亜をまたぐ河川国境の監視システムを構築することだ、と謳われた。
しかし在中国ロシア大使のイゴル・ロガチェフは「毎年、中国は1400万噸の汚染水をスンガリとアムール川に輩出している」として、「かたやロシア側は100万噸に過ぎない」と、その格差に不満を漏らす。
また中国側はロシア側の強い不満に対して、「すでに事故以来、42の汚染工場に閉鎖を命じた。222の汚染防止プロジェクトのうち、すでに84の工事を終えた」と反論した。(イタル・タス、8月31日付け)。
 
ロシアの天然資源大臣ユーリ・トルトネフは八月31日から九月4日まで北京を訪問し、中国側高官と話し合いを繰り広げた。
しかし両国はとうとう最後に合意に至らなかった。
ロシアの要求した補償金額に折り合いがつかなかったからとされるが、原因はそればかりではないだろう。
つまり中国としては他に国境を接するカザフスタン、キルギスなどからも同様な環境問題での補償を求められており、うっかりモデル・ケースをつくれない、という思惑もある。
カザフとの国境付近では、中国が勝手に運河を開削し、カザフ領内側の天山山脈の雪解け水を、地下からストローで吸い取るようにして消費している(これは東シナ海の日本領海からガスを盗掘する遣り方とそっくり)。(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)

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