六日発売の香港誌『開放』九月号は中国共産党次期指導部は胡錦濤、呉邦国、温家宝、曾慶紅の四人が留任し、賈慶林、李長春、呉官正、羅干(六月に黄菊は死去)が退任と報道した。
政治局常務委員は現在の九人から七人に減員され、のこる三人のポストをめぐって最終的権力闘争の暗闘にさしかかっているという。
新たに李克強、周永康、劉延東の三人が「政治局常務委員」に加わると『開放』誌が予想している。
李克強は河南省書記から遼寧省書記に栄転した胡錦濤の子飼い。共産主義青年団人脈である。「二人の政治的関係とは、ちょうど胡が小泉、李が安倍の年齢差」(金鍾『開放』主筆)。
ライバルの李源潮(江蘇省書記)、習近平(上海市書記)、王洋(重慶市書記)らを追い落とすことになる。
名前の挙がった劉延東も胡派。女性政治家。彼女のことは半年ほど前にも、小誌に書いた。
一方、周永康は公安筋を代表する保守派。江沢民系である。周が政治局常務委員会にはいれば、上海派ともちかく、曾慶紅とともに太子党vs革新官僚vs共産党青年団vs守旧派の対立という権力闘争の舵取りを背後から陰険に操作してゆく可能性がでる。
このほか、韓正、薄き来、馬凱らが下馬評にのぼっていたが、いずれも政治局常務委員会入りは難しいとの見方だ。
周小川、戴相龍ら経済閣僚経験者の政治局常務委員会入りは困難で、経済改革のスピードにも影響がでそうだ。
とはいえ、四年ぶりに北戴河会議を招集し、秋の人事を早めに決めたくて躍起だった胡執行部。
保守派、守旧派、軍部ならびに江沢民残党からの強い突き上げにあって立ち往生した気配である。
まして北戴河会議終盤に胡錦濤はビシケク、アスタナなど外交日程におわれて北京を不在とし、帰国後もメルケル独首相の訪中などで、人事に集中できず、その権力基盤の脆弱性を露呈した。
結局は「総主流派」のバランス人事という構造のなかに、幾分か個性を出す人事で落ち着くのではないか、と見られている。(「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より)
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